複雑・ファジー小説
- Re: 世界の気紛れ ( No.1 )
- 日時: 2012/01/04 00:50
- 名前: 楼 (ID: HdidGBSx)
___第一章 「とりあえず」
第一話 「起きろ」
この世界は、少し(いや、かなり)変わった人間が多い。
どう変わっているのかと言われても返答に困るしかないのだが、とりあえず変わっている。
もちろん、ストーカー相手に使う変態という意味がある変人ではない。
本当に変わっている人間。ああ、もちろん変体という意味でもない。
変わっている人間。
ある人に言わせれば、万国ややビックリ人間ショーだそうだが。
とは言え、とりあえず。
変わった人間が多いのが、この世界なのである。
ふわぁ、と欠伸をしながら街中を歩く青年。
只今、朝の9時。
普通の会社の出勤時刻を大幅に遅れた街中は、少々静かに店は開店準備をしている。
青年は途中で自動販売機で買ったコーヒー缶を片手に、あるビルへと入っていく。
ビルには会社名の看板も、どこかの政府のような豪華な庭のような木々があるわけでもない。
いたって普通のビルである。何もかも普通の何もないビルである。
エントランスには、小柄な女性がいた。
「・・・意外と遅いですね」
「いつも僕が早いだけですよ」
そうですね、と女性は返す。
「それに、僕が今日早く来る意味なんて一欠けらもないですしね」
「・・・まぁ、そうでしょうね」
女性は笑みを浮かべて返した。
2人はエレベーターに乗り込み、最上階である47階のボタンを押した。
高層ビルではあるが、最上階には数秒で着く。
チン、とエレベーターが最上階に着き、2人は降りてそのまま廊下を真っ直ぐ進み奥の部屋へ向かう。
奥の部屋には会議室というプレートが掲げられており、その中には数名の男女がいた。
「・・・あれ、揃ってる」
意外だというふうに青年は呟く。
「・・・時間にルーズな方はいませんからね」
集合時間は9時半ですから、と女性はそう言いながら机に置いてあった時計を青年に向けた。
「・・・じゃ、僕は一仕事をしてきますね」
と、青年は少々声のトーンを落としてドアの向こうに消えていった。
「・・・本当、嫌そうにしますね」
女性の言葉に残された全員が同意した。
ドアの向こうに消えた嫌そうな顔をした青年は会議室のさらに奥の部屋の前にきていた。
ふう、と深呼吸をしてからドアノブに手をかけた。
そして、
「起きろぉ!!」
という怒号と共に、ドアが勢い良く開く音がした。
青年は、揃っていると言った。
彼女は、時間にルーズな方はいないと言った。
それは、ある人物を除いての話である。
To be continued.