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複雑・ファジー小説
- Re: 黒き聖者と白き覇者 −小さな黒と大きな白の物語− ( No.8 )
- 日時: 2012/01/07 16:29
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: JbVqO821)
- 参照: http://loda.jp/kakiko/?id
第二話
辺りは気味が悪いほどに静まり返っていた。そのせいで、いつもなら聞こえないような音が良く聞こえる。
タリスの革靴が、煉瓦でできた道の上をすべる砂を踏んだときの音。
そよぐ風がリノアルの毛をなでる音。
一部の兵士がタリスを恐れ、奥歯をガチガチと鳴らす音。
ルトナの可愛らしい尻尾が風を切る音……。
タリスには、その他のもっと遠くの音も聞こえていた。常人では、聞こえることはない。タリスも元々は普通の人間であったが、今まで暮らしてきた環境に鍛えられ、視覚、聴覚、嗅覚が異常なまでの発達をしたのだ。
『あるじー。てーこくにヨウジなんてあるの?』
ルトナが、タリスと同じスピードで漸進しながら聞く。少しでもタリスの表情が見たいのか、懸命にローブの中に視線を送っていた。そのルトナの様子を見て、タリスは優しくルトナに微笑みかけた。
「帝国に用事はある。リノアルが探している漆黒のユニコーンの情報とか、ルトナの仲間が何処に今いるのか、とかね」
もちろん、私の体質についてもだ。そういうと、また視線を前方にいる兵士たちに移す。先ほどから変わらず固まっている兵士たちを見て、タリスはこみ上げてくる笑いを必死に堪えていた。そんなタリスを不思議そうにルトナとリノアルが見る。
『主、遂におかしくなったのか?』
『あるじー。もうコワイ人いるところについちゃうよー?』
「ふふっ……。知ってるよ、ただ、おかしいなって思ってさ」
ふふっと笑いが止まらなくなってきた口元をローブで隠す。
兵士たちとの距離は残り5メートルにまで迫っていた。座っていたケルベロスは立ち上がり、ルトナはタリスの前に立ちふさがる様にして歩を進めた。
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