複雑・ファジー小説

Re: 黒き聖者と白き覇者 −オリキャラぼしゅー− ( No.40 )
日時: 2012/01/30 21:16
名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: bJXJ0uEo)

「……なんだ?」 

 ざぁっと砂埃があたりへ舞ったとき、男は怪訝そうな顔を浮かべた。男はしっかりとシルクの顔面を狙ったはずなのに、柔らかい肉がつぶれる感触を感じることができなかった。それがどうしてなのか男には分かるはずがなく、もう一度さっきと同じ行為を繰り返した。それでも何故か肉の感触がしない。
 徐々に、砂埃が消えていくとその中から黒く大きな影が見えてきた。男にはその影がシルクであると、当たり前だが思った。其処には、シルク以外居てはいけないと男が思っているから、そう勘違いしたのかも知れない……。男がもう一度拳を振り上げた瞬間、ぼとりと何が落ちたのかも分からないが砂の上に何かが落ちた音がした。それからすぐ、プシュっと音がしたかと思うと男の振り上げた右腕の二の腕辺りからドクドクと真っ赤な液体を流し始めた。

「うああああああああああ!」

 男の悲鳴が町の至る所に響き渡る。腕を必死に押さえ血が流れるのを押さえるも、もう十二分なほど出た血は止まるところを知らずにドクドクと流れ出続ける。周りにいたエルフ達の数がだんだん増えてくる。それは男の状態を見たいという好奇心と、シルクたちを見に来たという二つの感情に左右された者だった。その中にはシルアやシルクと同年代の子も沢山居た。シルクは誰が集まってきたかなど確認する余裕はなく、自分の腕で自分の体を抱きしめながら奥歯を鳴らし震えていた。