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序章　一つのカケラ

　あら。貴方と話すのは久しぶりね。
　貴方が居るなら、また昔話を語ろうかしら？　あの物語の続きでも。
　え？　あのお話は終わりじゃないかって？　終わりなわけないじゃない。例え主人公である雪女が消えても、残りの人たちの物語は続くのだから。


　今回は……つまらないお話になるかもしれないわ。だって、この物語は残された人間の男の、孤独と向き合うお話だから。
　それでも、このお話を聞いて損はしないわ。だって、このお話は貴方達にだって訪れる物語だから。
　別れや孤独は、何時も唐突に訪れる。けれど、貴方達はその孤独と向き合うしか方法がないのだから。


　これは、一途に思い続ける男の、辛くて痛々しくも、神々しいお話。後悔だらけの物語だけど、逃げずに戦った男のお話。
　そして、周りのモノたちの優しさのお陰で、立ち直れたお話。




　さあ、貴方も覗いてみては？　そおっと、ゆっくりと、ね……。