複雑・ファジー小説
- Re: 【厨二的擬人化】聖剣少女【コメントを下さい】〜第三節〜 ( No.11 )
- 日時: 2012/01/08 18:24
- 名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: 7mGgpC5l)
零章〜剣は持ち主を選ぶ〜 第四節
話しは変わるが、ここらで、本州全土を血の一色に染め上げている、連続殺人事件について語ろうと思う。
始まりは三年前だった。
一人の成人女性らしき女が、心臓をくり抜かれたような状態、他には全く手を付けられていない状態で発見され、この三年間に渡る連続殺人事件が始まったのは、約三年前のことだった。
しかし、一年前から、その事件は新たな局面を迎える。
今までの犯人の殺し方では、血を抜くような真似をする事はあれど、一滴も残らないような、神がかった所業は行われないはずだった……が、一年前からは、そのような行いも行われている。
まあ、語り手として、彼女、黒木霊歌と魔剣『収めれぬ罪深き剣“ダーインスレイヴ”』の話しをしようと思う。
三年前、黒木霊歌は成人を迎えた。明確な殺人衝動を覚えたのも、その頃だったと思われる。
しかし、彼女にはその殺人衝動を、殺人衝動としては捉えていなく、芸術を探求する気持ちとして捉えていた。
黒木霊歌はこう考える。
『死へと向かうその過程、そして、一瞬で、更に、一度しかない死という瞬間こそが、この世で最も美しい。ならば、私はそれを観る者として、最上の演出をする芸術家になる。そして、この最高の芸術を世に知らしめなければならない』
黒木霊歌はそう考える。
だからこそ、彼女は、その残虐行為を、最上の悪徳を、三年にも渡り迷い無く続けてこれたのだと思われる。
そんな、筆舌し難い殺人行為を、全国に渡り二年ほど続けたところで、彼女は自分以外にも、この日本という小さい国に殺人鬼がいることを、偶然目にしたニュースを通して知った。
この人ならば、私の良き理解者になるかもしれない。
そう思い立ち、彼女はその惨殺行為を続けると共に、もう一人の殺人鬼を探し続けた。
「んー……なかなかみっかんないなぁ……」廃ビルに連れ込んだ一人の十代前半の少女を、ロープで縛って動けなくし、猿轡をかませ喋れなくしながら、黒木霊歌は呟いた。
しかし、この女、全く殺人鬼になど見えはしない。
中肉中背、スタイルもいたって普通で、服装も白のTシャツにフード付きのパーカーを羽織り、下にはダメージジーンズと、とても今まで生命に対する冒涜など行ってきていないような印象を受けた。
しかし、その彼女が行っているのは、紛れもなく惨殺で、生命の冒涜である。先程も出て来た彼女、誠条渚が見たものならば、黒木霊歌がどういう人間で、どの程度の実力を持つかなどは関係なく、彼女に飛びかかっていることだろう 。
それ程に……いや、誠条渚を持ってくれば、大抵の悪が彼女の正義の対象になるので言い直そう。
この惨状を見れば、誰だって黒木霊歌という悪魔のような異常犯に飛びかかりたくなるような惨状を、彼女は二十歳から現在に至るまで続けている。
この後手にすることになる『収めれぬ罪深き剣“ダーインスレイヴ”』を手にした後でさえそれは変わらない……。いや、更に酷くなったとも言えた。なぜなら、彼女こそ、世間を騒がせるもう一人の殺人鬼だったのだから……。
そして、黒木霊歌は周りに人気も何もないことを確認し、どこか物足りなさそうに、彼女の猿轡を外し、捕まえた少女の爪を一枚一枚剥がしていく。
大粒の涙と共に泣き叫ぶ少女。それを見て、先程までの物足りなさを忘れ、その声に恍惚とした表情を浮かべた。
「あなたの声……とっても良い声だよ。だから、私にもっと聴かせて欲しいな」
黒木霊歌はそう言いながら、残った最後の一枚の爪を剥がす。「━━━━っ!」と、少女は声にならない、先程よりは小さな悲鳴をあげた。
それを見た彼女は「あれ、痛覚麻痺った? つまんないのー。また、ちょっと置いとかなきゃ」と、廃ビル内に置いてあったボロボロのイスに腰掛け、少女を観察していた。
偶然にも、その時迫っているもう一人の異常犯の魔剣には気づくことも無く、彼女は少女に痛覚が戻ってくるのを待ち続けた。