複雑・ファジー小説
- Re: 【グロ注意!】聖剣少女【コメントを下さい】〜第四節〜 ( No.12 )
- 日時: 2012/01/10 22:37
- 名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: ZUkStBmr)
零章〜剣は持ち主を選ぶ〜 第五節
さて、再び時間を三年前、黒木霊歌の話しが始まったところまで戻すのだが、今回は黒木霊歌の話ではない。その剣となる『収めれぬ罪深き剣“ダーインスレイヴ”』の人間の姿、真罪澪についての話しだ。
彼女も持ち主を探し、この二年間世界各地を回った後、日本へと来た。そして、日本に着いた最初の夜、魔剣、真罪澪が取った行動は……食事だった。
食事と聞くと、なんだか拍子抜けしてしまうかもしれない。だが、彼女でいう食事とは、恐らく読者が思い浮かべている食事とは、全く違うものであろう。
真罪澪こと、ダーインスレイヴにはこのような記述がある。
『一度鞘から抜いてしまうと、生き血を浴びて完全に吸うまで鞘に納まらないといわれた魔剣』
これを見ればわかってもらえただろうか。そう、真罪澪でいう食事とは、殺人行為だ。
そして、その食事という殺人行為の最初の犠牲者となったのは、二十代後半程の一人の成人男性。
その男は飲み会でもあって酔っていたのだろう。千鳥足でふらつきながら、人気のない路地を一人で歩いていた。
当然、そのチャンスを逃す真罪澪ではない。近くで待ち伏せ、男が来た瞬間に、口をふさぎ、森の中へと連れ込む。
そして……ダーインスレイヴである自身を生かし、片腕だけその剣の物へと変える。
そこから、もう片方の男を掴んだ腕を放さないように、ガッチリと固定する。
剣となった腕を、男の腹に刺し、剣となった腕を、人間の腕に戻し、内蔵を掻き回すことで蹂躙。腕にその血をしっかりと染み込ませていく。
もはや男は、完全に死んでいるだろう。しかし、真罪澪の渇きは未だに潤ってはいない。
心臓。
真罪澪は、人間の中で最も上質な血液が、新鮮な血液が流れる心臓に、再び剣と化した手を勢い良く突っ込み、心臓を、周りの血管を、肺を先程と同じ要領で蹂躙した。
「じゃあじゃあ、本格的に、お兄ちゃんの血を……いただきまーす!」
もはや片方だけではない。その両腕が、禍々しい気配を放つ魔剣と化し、男の身体を原型を留めないまでに、細かく、吸収しやすいように切り刻んだ。
彼女の刀としての能力『黒き血欲“ドウェルグ・カース”』の維持条件に、一週間に最低一人分の血を吸わなければ、この能力は使えない。という条件がある。
そのため、彼女はこうして人間の血を捕食し、自身の強さを保っているのだ。
何度も斬られた身体からは、最早血というものは残っていない。なぜならば、真罪澪には触れた生物の血を吸い取るという能力も備わっているからだ。
そして、森の中にもはや見る影もなく惨殺された男の死体に手を合わせ、その、十代前半の幼さの残る殺人鬼……いや、血吸いの魔剣は「ごちそうさまー! お兄ちゃんの血、おいしかったよ!」と、どんどんと吸収されて、返り血すらなくなっていく、満面の笑みを浮かべた子供らしい表情を浮かべ、森を抜けた表の道へと出て行った。
酸化した血のように赤黒いショートの髪と、同じように赤黒い瞳。人はおろか、虫すら殺さないような童顔で、子供っぽいロリな雰囲気を出し続けるツルペタな少女。……しかし、そんな彼女は殺人鬼で、殺人剣で、魔剣なのだ。
事実、日本に来て、ラグナロクが始まるまでの三年間……いや、真罪澪がコロッセオに納められていなかった全ての時、真罪澪は今のような食事という惨殺を繰り返していたのだ。もはや両手で数えきれる数などでは無い。数えることを止めるような人数を、真罪澪は殺している。
そして、最初の食事から数ヶ月後に、偶然にも、彼女はあるニュースを見た。
それは、彼女ともう一人……。後の持ち主となる、黒木霊歌についてのニュースだった。
そのニュースを見た彼女は、不思議な感覚にみまわれた。
「なんだろー。私と同じ感じするー」
街中の大きなテレビに映し出された死体を見て、それが人間による犯行だとわかって、真罪澪は、その犯人に共感覚とでもいうべきなのだろうか。自分と似た気配を犯人に感じていた。
思い立ったら……いや、考えずに彼女、真罪澪は犯人である黒木霊歌への接触を図った。
それにあたって、彼女はもう一人の“大飯喰らい”がいる場所へと移動を開始する。
そして、途中食事に寄った一つの町での出来事だった。
今宵も彼女達殺人鬼二人、真罪澪は食べ物を、黒木霊歌は芸術を求めて、手頃な人間を誘拐する。そして、くしくも連れ込もうとした場所が、先程の廃ビルだった。
そして少し遅く廃ビルに着いた真罪澪は、黒木霊歌からの祝福となる、絶叫というなの歌を受け取る。
廃ビル内に広がる「キャーーー!」という、真罪澪にとっても聞き慣れた、かん高いその音がこだまする。
とたん、真罪澪はもしかしたらと思い、表情がパアッと明るくなり、駆け出したくなるが、こちらも一人の成人女性ぐらいの女を、手足を逃げられないように傷つけ、その魔剣ならではの強い力で強引に引きずるように連れているため、走ることはかなわす、早足でその悲鳴の元へと向かっていった。
そして、二人の異常犯は出会うことになる。