複雑・ファジー小説
- Re: 【グロ注意!】聖剣少女【コメントを下さい】〜第五節〜 ( No.15 )
- 日時: 2012/01/09 18:30
- 名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: GyOijjIz)
零章〜剣は持ち主を選ぶ〜 第六節
では、ひとまず黒木霊歌、真罪澪ペアの前日談に区切りを付けようかと思う。
少女の叫び声に、真罪澪は反応し、その叫び声の元へと、半ば走るように向かっていく。
当然、その音が近づくにつれ、黒木霊歌はそれに気付き、ひとまず見つからないような、すぐに逃げ出せるような場所に隠れた。警察が来たかもしれないと思ったからだ。
しかし、彼女が目にした人物は、想像していたものとは全く違い、一人の成人女性と、一人の少女の姿だった。
えーっと……あの人が私が探してる人なのかな? アレを見ても動じないし……。
黒木霊歌は、成人女性の方を見て、そう思っていた。まあ、彼女が黒木霊歌という異常犯であっても、流石に十代前半の少女が、巷を騒がすもう一人だとはとても思うことなど出来ないであろう。
「あれれ? この縛られて、爪を剥がされた子が、私の“ぱーとなー”さん?」
黒木霊歌から見れば、囚われているようにしか見えない真罪澪が、不思議そうに首を傾げる。
その瞬間に、黒木霊歌は理解した。
——ああ、この幼い少女こそが、私の求めていたもう一人なのだ——と。
ならば、もはや身を隠すようなことはない。黒木霊歌は、真罪澪とのファーストコンタクトを図った。
「えーっと……あなたって、最近世間を騒がしてる殺人鬼?」
同じ人種である黒木霊歌は、大量殺人犯である真罪澪に、ごく自然に、知り合いに話しかけるように尋ねる。
すると彼女は「えーっとねー……うんっ! 多分そうだよー! さっきニュースで私が食べた人見たもん!」と、その言葉の危なさとは間逆の、純真無垢な笑顔を黒木霊歌に向けた。
「はい? 食べたって?」流石に、この子が死体を食べたと言うことじゃないよなー。どういうこと? と思った彼女が、真罪澪に分からないと言うように尋ねると「んー……? あっ! いきなり言われても分かんないよねー。じゃあ、実際に私の力を、お姉ちゃんに見したげるー」
一連の話を聴いていた成人女性の顔から、大粒の涙が流れ落ち、死にたくないと泣き叫ぶ。
しかし、それを聴いて止まろうとするような真罪澪ではないし、それを聴いて止めようとする黒木霊歌でもない。
『むしろ興が乗る』
二人の考えは、それで完全に一致しており、悪魔のような笑みを浮かべながら、その悪魔の一人、真罪澪はその女を地面へと倒す。
「じゃあ、いただきまーす」日本に来て何回目だろうか、その言い慣れたセリフと共に、真罪澪は自身の右腕を、禍々しい気配を放つダーインスレイヴの物へと変える。
黒木霊歌はそれに驚愕し「あなた……その腕って……」と、驚きを隠さない声を出した。
「これー? これはねー……私の本当の姿なんだー。ダーインスレイヴって調べてみて。それで分かると思うよー」
そう言われて、黒木霊歌は携帯からダーインスレイヴを検索する。
その検索結果を見て「えーっと? この剣があなたの本当の姿ってわけ?」と、当然投げ掛けるであろう質問を、真罪澪にした。
「そだよ。私みたいな、まけんや、せーけんは人間になれるの。で、今度“らぐなろく”っていう一位を決めるのが有るんだー。でっ、今はぱーとなーさんを探してるの!」
黒木霊歌と話しているからか、真罪澪は女を倒したまま、ただ剣を突きつけているだけで、まだそれを突き刺してはいない。
「へぇ。そんなの有るんだ。あなたのパートナーは見つかったの?」あわよくば、自分がパートナーになり、この少女で人を斬りたいという感情を出来る限り隠しながら、真罪澪に尋ねた。
「ついさっきみっかったのー」と、新しい芸術の可能性を持っている少女が言い、自分ではないのか……と、多少落胆した表情を見せる黒木霊歌だったが、次の一言で、それは百八十度ひっくり返る。
「それはねー……お姉ちゃんだよ! だから、私のぱーとなーさんになってくれる?」それを聴いた黒木霊歌は、ニィっと口角を上げ「当然良いよ。だけどさ、ちょっとあなたを使ってみたいんだよねー。その女、私にやらせてくれない?」
もはや彼女には、爪を剥がして放置している少女など見えていないのだろう。
その狂気に満ちた眼差しで、真罪澪と女を見つめながら、黒木霊歌はゆっくり近づいていった。
それを聴き、更に自分に近寄ってきた黒木霊歌を見て「いいよー」と軽く返事をし、一本の魔剣『収めれぬ罪深き剣“ダーインスレイヴ”』へと、その身体を変化させる。
その隙に、女は逃げようとするのだが、あいにくそれを許すような心を黒木霊歌は持ち合わせていない。
女の服を掴み、再び肺の空気を抜くように思いっ切り女の身体をコンクリートで出来た床に倒し、ダーインスレイヴを拾った。
「さぁて……どんなアートを作れるかなー……」この女は試し斬りで、楽しまないで殺そう。
そう考え、予想外に手に馴染むその剣を持ち、どこに突き刺してみようかと思案する。
「あ、逃げられなくしなきゃ」そう思い立ち、剣を女の脚に降り、足首から下が身体という鎖から外れ、自由になった。
性能良いなー……。尚更斬り悩む。
そして、彼女は数分間考え、女をボロボロに風化したロッカーの上部、女の顔だけが見えるようにダーインスレイヴで斬ってから、女を中に入れ、その剣を構えた。
「脚が無くても、人って跳ぶのかなー……」そう言って、彼女は女にダーインスレイヴの鋭利な刃を一瞬突き刺し、抜き取る。
女は、身体をジタバタさせ、必死に抜け出そうとしたが、脚が無いため抜け出せない。
そこにすかさず第二撃、第三撃、第四撃……永遠と続く命を取らないように計算された連続の突きが、女を襲った。
そして、痛みで女の身体は肉体的限界を超えて飛び上がる。
「おー……飛んだ飛んだ」関心したようにそれを見ながら、女に近付き、ダーインスレイヴを上に立てて待ち構え、女はダーインスレイヴに抵抗なく刺さっていった。
「この切れ味……最高」黒木霊歌は、穴だらけのロッカーと、女を見てそう呟き、ダーインスレイヴのパートナーになることを決めた。