複雑・ファジー小説
- Re: 【グロ注意!】聖剣少女【コメントを下さい】〜第六節〜 ( No.19 )
- 日時: 2012/01/10 14:18
- 名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: 7mGgpC5l)
零章〜剣は持ち主を選ぶ〜 第七節
——さて、黒木霊歌と、真罪澪にひとまずの区切りが付いたところで、もう一度誠条渚と、カーラ・エイシアのペアに話しを戻そうかと思う。
誠条渚は男達を薙払い、颯爽とその場を去っていく……。
ここまではいつもと同じだった。これは崩れることのない、彼女の中の方程式で、置いてあるケースを担いで目的地へと向かう。
これが彼女、誠条渚がいつも繰り返している流れのはずだった……が。
「あ、お疲れ様ですの。凄いですわね、あの人数の……しかも、殿方をお相手に、あそこまでの大立ち回りが出来ようとは……私、感動しましたわ。これ、あなたのケースですわよね?」
今回に限っては、笑顔で彼女のギターケースを手渡す、一人のお嬢様が居た。しかも、金髪に碧眼という明らかな外国人の……だ。
「確かにそれは渚のなんだが……なぜアンタはそれを持って、私に手渡す? いや、嬉しいんだが……」誠条渚は、日本人形のような見た目に反し、男に近い口調で喋り、照れくさそうに髪を掻く。
それに少し驚いたような表情をカーラ・エイシアは見せたが「あっ……余計でしたわね……すみません」と、演技でもなんでもなくケースを抱えたまま俯いた。
「いや、余計だったわけじゃないんだ。ただ、今まではそんな人はいなかったから、少しビックリしてね。でも、アンタは日本語上手だねー」そんなカーラ・エイシアの様子を見てか、誠条渚は少し慌てて弁解するようなセリフを言う。
すると彼女は顔を上げて、上品に笑い「なんであなたが焦るんですか。落ち度があるなら、私の方ですのよ? ですから、焦る必要なんてないではありませんの」と、ギターケースを誠条渚に渡した。
差し出されたギターケースを見て「ん……ああ、ありがとう」と、それを受け取る。そして「じゃっ、アタシは友達との約束があるから」と、その場を去ろうとした。
約束の時間は、もう三十分もオーバーしている。約束は必ず守る誠条渚にとって、それは屈辱ともいえるような失態だった。
急がねば。そう思っていた彼女の腕を、カーラ・エイシアの細いが、がっちりとした腕で、しっかりと掴まれた。
「ちょっと待ってくださいまし、少しあなたにお話しが有りますの」
何? 新手の職質? そう思った誠条渚だったが「ごめん、アタシは急いでるから、後でにして。暇なら付いてきても良いからさ」そう言って、ひとまずは火崎百萌との約束を優先させた。
「……まあ、仕方ありませんわ。迷惑をかけているのはこちらなのですし。では、お供させていただきますの」カーラ・エイシアは、数瞬考えるような素振りを見せる。結果、彼女を掴んでいた手を放し、走り出した彼女に付いていった。
この時点の誠条渚は、カーラ・エイシアという少女が『強固な刃と稲光の剣“カラドボルグ”』の人間の姿であることなどは知るよしもなく、また、ラグナロクという存在も、それに自分が参加することになることも知らなかった。