複雑・ファジー小説
- Re: 【厨二的擬人化】聖剣少女【コメントを下さい】〜第九節〜 ( No.25 )
- 日時: 2012/01/14 10:35
- 名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: ZUkStBmr)
零章〜剣は持ち主を選ぶ〜 第十節
さて、ではそろそろ、日本最強の剣士のライバル、芽上凜の紹介をしようかと思う。
剣士、早槍京子の得意分野が技だとすれば、この戦士、芽上凜の得意分野は力。とりわけ、瓦割りなどを得意としている。
早槍京子からは“パワーバカ”と言われているが、一応それも彼女なりのほめ言葉だったりする。とにかく、彼女は力が強いのだ。それはもう、男勝りという言葉すら似合わないと言えるほどの強い力を持っている。
そんな、男女問わず突出している力を持つ彼女。
『かの聖剣の姉妹剣“ガラディーン”』の持ち主となる彼女の話しを、今回は始めようかと思う。
芽上凜。彼女は早槍京子の幼い頃からのライバルではあるのだが、その二人の性質は結構真逆だったりする。
例えば——早槍京子の場合、しっかり者なのだが、この芽上凜は簡単に言うと、ドジッ娘なのである。
行きのバスで寝過ごし、多少遅刻することは日常茶飯事。また、自分が乗るバスすら間違うこともある。そんな彼女なのだが『寝る子は育つ!』そんな主張をこの高校生活の三年生が始まる今までに渡り、ずっと続けている。授業中ぐらいは起きろと言った教師もいたのだが、彼女はそれでも寝続けた。
まあ、結果を言えば彼女の身長は百四十七センチと小さめなのだが「去年より八ミリ伸びたし!」と、強気な姿勢を崩すことは無かった。ちなみに、早槍京子の身長は百六十を軽く越えており、本人にそのつもりはないのだが、芽上凜本人は見下されているように感じ「見下すなし!」と、逆ギレすることも現在形である。
まあ、そんなコンプレックス、ウィークポイントはものともせず空手では、無双の実力を誇る彼女なので、迂闊に彼女を『チビ』などとは言えないのであった。早槍京子を除いての話しなのだが。
では、紹介はこの程度にしておいて、早槍京子と同じように登校シーンから始めさせてもらおう。
芽上凜の住まいは、私立新嶺からは多少離れた位置にある。小四で新嶺の近場から、現在の住所へと移ったため、幼なじみで、ライバルの早槍京子とは離れ、バス通学を余儀なくされている。
「…………」現在は新嶺高校前から二つ前のバス停を通過したところなのだが、彼女は一向に起きる気配を見せない。熟睡と言って差し支えない。むしろ、そうとしか言えなかった。
結局は、今日も寝過ごして、一つ後ろのバス停で降りることになってしまった彼女は「そこをどけろー!」と、数人の生徒を次々と抜き去り、新嶺への坂をメロスだって驚くほどの勢いで駆け上がって行く。
「セーフ!」
門が閉ざされるギリギリで敷地内に転がり込み、生活指導の教師に「……芽上は、もう少し早く来い」と、呆れられた様子で言われて「今日も寝過ごしたんですよー」それだけを言って、足早に教室へと向かっていった。
昼休み、早槍京子の教室にて。
「はぁ……また凜は遅刻ギリギリなの?」
昼食を食べながら、一度箸を止め、早槍京子が呆れたように芽上凜に尋ねる。
「遅刻しなかったから、別にいいじゃん。うちの生徒会長は心配性だねぇ」溜め息を吐き、頭を抱える早槍京子に、なぜかからかうように言うのだが「……凜、あなたはもう少し余裕を持って行動すべきじゃないかしら?」早槍京子にそう返され、黙り込むしか選択肢がなくなった。
「とりわけ、バスをもう一本早くするとかから始めるのはどうかしら」
「ごめん、今も始発だし」
「そうなの? じゃあ、それは無理ね。なら……移動教室をもう少し早く移動してみれば?」
「休み時間は寝たいんだよー……。私も、京子みたいにおっきくなりたいもん!」そういうと「それでも、移動時間ぐらいには余裕を持ちなさいよ」小さい音と共に、芽上凜の頭に一発のチョップが炸裂した。
「面あり……。まぁ努力するよ」
「剣道じゃないからね?」そう言って、早槍京子は再び自分の弁当を食べ始めた。
「ふぃー……食った食った。私は満足だよ……寝る!」そう言って机に突っ伏した芽上凜に「止めときなよー。食べた後にすぐ寝ると……」そこまで早槍京子が言うと「牛になるんでしょ?」と、芽上凜が先回りしたかと思われたのだが「いや? 逆流性食道炎になりやすくなって、食道癌の可能性が高まるんだけど……」彼女は、妙にリアリティのあることを言った。
「マジで!? 止めとこ」
「ホント。止めときなよ」
(まあ、正確には食べた後、すぐ横になるなんだけど……凜にはこれぐらい言っても大丈夫だよね)
早槍京子がそんなことを思っていると、三組のドアが開けられ「失礼します。早槍先輩いますか?」と、一人の後輩が彼女のことを呼んだ。
「あ、いるよー。何の用?」気さくに返事をして、後輩のところへと歩いていく。
「あの、ちょっと仕事のことで訊きたいことがあるんですが……」仕事と言うところを見るに、入ってきた後輩は生徒会関連の人だったらしい。
「あ、良いよ。なに?」と、早槍京子が教室から出て行ったのを見て、芽上凜は自身の教室に戻り「眠っ」それだけ言って、休み時間の全てを睡眠に費やすことになった。
そして、彼女は空手部の活動を終え、自宅へとバスに乗り帰っていくのだが、まさか隣に座った人が自分の剣になるとは思いもしていなかった。