複雑・ファジー小説

Re: 【厨二的擬人化】聖剣少女【コメントを下さい】 ( No.4 )
日時: 2012/01/07 21:52
名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: lD2cco6.)

零章〜剣は持ち主を選ぶ〜 第二節

 先程名前だけ出てきた彼女——火崎百萌は渚と同じように、バンド活動が休止して、暇を持て余していた。
 しかし、日常に充実感を求めての渚とは、理由も何も全く違う。
 まあ、ここで言うのもアレなのだが、彼女はレズなのだ。しかも重度である。
 彼女にとってBlueStarはあらゆる意味でかけがえのない存在で、それが奪われてからは、変化のない日常をやる気も何もなく、ただ、ルーチンワークをこなしているロボットのように、無機質に一日一日を過ごしていた。
 ケータイのバンド仲間で撮った写真の待ち受けを見ながら、その茶髪ショートカットの、クリッとした赤っぽい瞳を持った小柄な少女は、わざとらしく一つ溜め息を吐いた。
「二人に会えないってホントに嫌だなー。聖羅は来ないだろうけど、なぎさんからメールか電話が来れば良いなー」
 聖羅というのは今回のラグナロクには関係ないらしいが、BlueStarのボーカルで、なぎさんは当然、渚のことだ。渚さんを略して“なぎさん”になったらしい。
 そして、ほとんど何もせずに、小一時間を過ごしたところで、実際に渚からのメールが届いた。
『Frmなぎさん
 Sb 練習しないか?
 聖羅が休止って言ってるけど、腕を鈍らせるとアレだし、二人で練習しないか? 良かったら返信が欲しい。場所と時間は一時間後にいつもの場所で』
 届いたメールは以上の内容だったが、当然、了解の旨を伝えるメールを渚に送り、上機嫌で練習場所へと向かった。
 彼女のパートはドラムのため、機材一式は預けている。なので、手ぶらのままで練習場所へと向かう。
「今日は久々になぎさんに会えるー」と、鼻歌を口ずさみながら歩いていると、電気店を通りかかった際に、不穏なニュースが、耳に流れてきた。
 内容は近頃世間を騒がせているという、連続殺人事件についてだった。
 なんでも切り刻むと、無惨な状態での死体遺棄があるらしいのだが、犯人は一人か二人かは分かっていないらしい。
 怖い事件もあるんだなーと思いながら、百萌は練習場所へと歩き続け、着いたのだが、時間には人一倍うるさく、自分自身も待ち合わせには遅れたことのない渚は、一時間以上遅く、更に、一人の少女を連れてくることになる。