複雑・ファジー小説
- 【厨二的擬人化】聖剣少女【コメントを下さい】〜第十四節〜 ( No.40 )
- 日時: 2012/02/09 21:18
- 名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: 7mGgpC5l)
零章〜剣は持ち主を選ぶ〜 第十四節
バスの後方の席に乗りながら外のいつもと変わらない町の景色を眺めながら、芽上凜は眠気をこらえてきれないのか何度も頭の角度が下がったり上がったりしている。
そして、自分の降りるバス停まで後十程になったところで一人の乗車客が彼女のとなりに座った。
今現在、このバスにはあまり人が座っておらず二人席が丸々空いている所も有るにも関わらず自分のとなりに座ってきたその人に疑問を持ったらしく、人見知りなどしたこともない芽上凜はその人にそのことを尋ねる。
「ねぇ、なんで他の席も空いてるのにそっち座んないの?」
その人はいきなり話し掛けられたことに少し驚いた表情をしつつも、それはすぐに直り「ん……まあ、確かにそうだがな、我は汝と少し話したい気分なのだ。汝が良ければで良いのだが我と少しばかり話しをせんか?」赤く、所々に黒が使われてドレスのようなフリフリのワンピースを着て、髪にも同じようなリボンを付けてツインテールにしている可愛らしい見た目と声をした一五ぐらいのゴスロリ少女が言う。
「なにそれ、初対面なのにおかしいし! まあ、私も眠気をごまかせるしいいよっ」
自分の発言も初対面の人にするものではないということをこの時の彼女は気付いていなく、失礼と言えることを言いながらその人と話すことに了承した。
「汝がそれを言うか……まあよい。我が汝に話しかけたのは、汝に見事なまでの力。取り分け筋力を感じたのだ。だから我は汝に興味を持ち話しかけた」
「ふっふっふっ、私の筋肉舐めない方がいいよ。なんたって、私の戦闘力は五十三万だからね」
露骨に入れられたサイヤ人などが出てくる某漫画を見ていなく、知識にも無かったらしく「? 戦闘力五十三万?」そう言って首を傾げる。
ジャンルや時間帯を問わずアニメが好きな芽上凜は、これに驚きを隠せなかったらしく露骨に驚いた表情をしている。よく見ると震えているのすら分かった。
「あの有名な漫画を知らないとか、こんなのって無いよ! こんなの絶対おかしいし!」
驚きを隠せない彼女は、なんだか一つだけ願いを叶える代わりに魔法少女になる契約を迫りそうなアニメの言葉を言っている。
「あ、それは我も知っておるぞ」
「えっ?」
それを聞いた芽上凜は世界的に有名なバトル漫画を知らないで、最近話題になっているアニメを知っていることに尚更驚いていた。
「なにも驚くことはあるまい。かの有名なアニメの広告など、嫌でも目に付こうよ」「でもさ! なんで七つボールを集めたら願いが叶うアレを知らないわけ!?」
立ち上がって思わず椅子を叩き、バンッと音がなったため十人ほどしかいない乗客の全員が二人の方向を振り返る。
「あっ、これは、あのっ、はわわわわ……何でもないし、大丈夫!」
流石に乗客全員に見られたら焦ったらしく、数秒間戸惑った後開き直って自分の胸を叩き持ち前の明るさを全面的に出しながら再び座った。
そして、やってしまったと言わんばかりに顔を赤らめ押さえているのを見て「ふふっ、汝にも面白いところがあるではないか」と、隣にいる彼女は笑った。
「うるさいし。私だって恥ずかしいんだよー……」
「ていうか、君みたいなしゃべり方をする人に言われたくないし!」
「なっ、我の話し方が変だと!?」
多少開き直り、彼女の喋り方を芽上凜は指摘する。
それに対して彼女は心底驚いたようで、周りの乗客に充分聞こえるような声で言ったため、再び周りの乗客から二人の座っている席を見られ「流石に変かと……」と一人の乗客が言った。
「なぬっ!?」
見られたことに対して彼女は全くと言って良いほどに気にしていない。
しかし、彼女は自分の古風過ぎる話し方は普通だと思っていたらしく、古風過ぎる話し方で驚きの声を上げる。
「ほら、それが古いんだって」
「しかし、今までこれを指摘されたことは無いぞ?」
「なんかのアニメのキャラになりきってるって思われてたんじゃない? ほら、その服装にしたってそうじゃん」
芽上凜は女の服を指差し、今度は彼女の服装を指摘した。
確かに普段着であれ外着であれ東京でも目立つような赤と黒のワンピースをこの京都で着ているのは異質と言うほかなく、コスプレと理解されるのが普通だろう。
「これは店員とやらに勧められた服装だ。我はそういうものを分からない故それを頂いてきた」
そう言われると、芽上凜はその店員のセンスを疑わざるを得なかったのだが、よく見れば確かに彼女にこの服は似合っている。口調のチョイスが残念なだけだ。と思ってそれ以上は言及するのを止めることに決定した。
しかし、やはり考えを変えて『でも、君にはそれは似合わないんじゃない? 喋り方的にね』と言おうとするが『次は、神海。お降りの方は停車ボタンをお押し願います』というアナウンスが聞こえて降りる予定だった彼女は急いでボタンを押す。
それと同時に『流石にかわいそうかなー。あと、黙ってれば可愛いし!』そう思ったので結局言及しないことに決めた。
「汝はここで降りるのか?」
「そだよ。君は?」
「我もここで降りる。汝の家に泊めてもらわんと今宵の宿すらない」
流石にこれには驚きが限界点を突破したらしく「………………え?」この一文字しか言うことが出来なかった。