複雑・ファジー小説
- Re: 【厨二的擬人化】聖剣少女【バレンタインの短々々々々編】 ( No.46 )
- 日時: 2012/02/15 21:11
- 名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: 7mGgpC5l)
- 参照: グロ注意
零章〜剣は持ち主を選ぶ〜 第十五節
今回はとある二人の時間軸を一週間前まで進めさせてもらおうかと思う。
八日前、山梨。
彼女達、真罪澪と黒木霊歌は“いつも通り”適当な人間を誘拐し人気のない場所に連れ込んでは彼女達が“芸術”と称する殺人を行っていた。
「霊歌お姉ちゃん、霊歌お姉ちゃん。今回はどうするの?」
計画の構想中なのか、それぞれ木に縛り付けた中学生ぐらいの男と女を見ながら真罪澪は言う。
一年半前に黒木霊歌と出会った彼女は今ではすっかり霊歌お姉ちゃんと呼んで懐いている。よほど二人は相性がいいのだろう。
むしろこの異常者達には、これ以外のパートナーが居ないようにも思えるが。
「今回は……うん。私は“耳無し芳一”をやろうかな」
黒木霊歌は少し考えた後に独自の殺害方法“耳無し芳一”を決行することにした。
「あっ、あれ面白いよね! 私、お食事する前に見てたいなー。良い?」
黒木霊歌が提示した殺害方法は真罪澪の結構気に入っているモノだったらしく、にぱっと口角を上げて喜んでいる。
「当然でしょ? 芸術は見られるためにあるんだから」
そう言いながら黒木霊歌は刃渡り10cm程のナイフを取り出し中学男子の手へと月の明かりに照らされて怪しく光るそれを近付けていく。
そして、軽く刃先を手の甲に触れさせ、筆で字を書くようにナイフの先端を少年の手から腕に適当な文字を書きながら書き進めていく。
「んっ——! っ!?」
痛み自体は比較的無いものの、継続的に満遍なく腕に痛みが広がっていき、自分の視界に入る腕から流れて文字を消すように下へと流れては永遠と流れ落ちる自分の赤い血が痛みを増強して少年はそれを我慢するためにくわえさせられている猿轡を一層強く噛み締め、苦しそうな顔を浮かべる。
実際の痛みがそこまでではなく脳が痛覚の遮断をなかなか行わないために少年は四肢全てに文字を刻み込まれても痛覚を完全に遮断することは出来ず、苦痛に満ちた表情をあからさまに浮かべている。
そして、疲れたのか多少休憩といった風に休んでいる黒木霊歌は少年の苦痛に満ちた表情にしっかりとピントを合わせ、携帯に内蔵されているカメラで顔をアップで撮った。
隣に縛り付けている女が『外道』とか『鬼』とか『異常者』とか言ったように聞こえるが、猿轡を噛まされているためそんなことをちゃんと聞き取れるわけもなく、ただ五月蝿いとしか思わなかった。
だから「澪、口封じ」これだけ真罪澪に言って少女を喋れないように歯を全て抜かせておいた。
当然叫び声が少し行った先の民家に届くこともなく、その叫び声は黒木霊歌の携帯のボイスレコーダーにとられるだけで終わり、その後は猿轡を噛まされている、噛まされていない関係なく声を発することすら出来なくなった。
そして、再び視線を少年へと移し上半身の服を破いて脱がした。
当然いかがわしい行為に及ぶとかそういうことではなく、上半身にも文字をナイフで刻み込むためである。
そして、上半身が終われば下半身も同様に。
もうお分かりだろうが、耳無し芳一とはその話しの通りに耳を除いた全身に呪文のように文字をナイフで刻み込み、仕上げに両耳をナイフで切り落とすという殺害方法である。
これをされた死体は全身から血を流し、それで自身の身体を真っ赤に染め上げ、苦痛に満ちた表情をしながら失血死していくという極めて残酷で手間のかかる殺し方だ。
『そりゃあ、手間がかかるからこそ更に芸術性は増し、作品は美しくなるからよ』
これはかつて彼女が真罪澪と出会った後に初めてこれを行い『なんでこんなにめんどくさいやり方するの?』と聴かれた時に彼女が当然のように言った回答であり、終わった後の真っ赤な死体を見た真罪澪は更に彼女の狂った芸術性に魅せられ自分の“食事”に少なからず影響をもたらした。
下半身が終わった彼女は最後の仕上げ“顔”に取り掛かる。
目や口のデリケートな部分。そして耳に当たらないように身長に頬に、額に、顔全体にナイフを這わせて特に意味もない文字を羅列させていく。
彼は痛みで最早気絶も出来ないらしく、眼前にナイフがあるという光景から目を逸らそうと目をつぶり、痛みをなるべく気にしないようにしている。
しかし、そうすればするほど痛みを意識したり、ナイフをイメージしてしまうのが人間なため、彼の痛みは更に増していった。
これで完成でも人間の所業とは思えない酷い有り様なのだが、黒木霊歌は更なる手を少年に加える。
唯一傷つかず残っていた両耳にナイフを当て、耳無し芳一の話しを再現するように赤い文字がかかれていないその耳だけを勢いよく身体から分離させる。
そして、痛みに一瞬悲鳴のような声をあげ、大量出血による失血死で少年は死んでいった。
それを見た少女は吐き気を催し『ニュースでもみてたけど、やっぱりこの人たちは人間じゃない』と思い、縄をどうにかして解いて逃げようと暴れ回っていたが、か細いが、小さな人間とは思えないどころか成人男性とすら思えない程強い幼女の腕がそれを阻止する。
「ねぇ、霊歌お姉ちゃん。この子は私が食べても良いんだよね? お姉ちゃんが作品を作ってる姿を見たら興奮しちゃって腹ペコだよー」
「良いよ」
少年が真っ赤になった姿を携帯のカメラで撮りながら二つ返事で答える。
「えへへっ。じゃあ、ちゃんと見ててね?」
そう言うが速いか、動くが速いか幼女は少女の口にその細い腕を差し込み、腕が自由に動く程度に自分の腕を剣にして心臓まで差し込み、幼女はそのまま自分の腕を微動だにせず固定した。
(もう殺しちゃったのか……)
そんなことを黒木霊歌は思っていたが、そうではなった。
なぜなら、心臓を貫かれたはずの今も少女は必死に抵抗を続け、真罪澪の腕をはきかえそうと頑張っているからだ。
当然少女の力で剣である真罪澪が動くはずもなく抵抗は無駄に終わった。
真罪澪が少女の口に手を入れて心臓に届かせてから少し時間がたったが二人の体制に変化はない。しかし、見た目の変化は明確で、少女の顔から血の気がどんどんと引いている。
これを見て黒木霊歌は「あぁ」と納得したように言って、わざとらしくポンと手を叩いた。
真罪澪は少女の心臓を自身に備わる魔力を使い強制的に動かしながら少女に流れている新鮮な血を余すことなく直飲みしているのだ。これだけの鮮度の血が手には入れば使った魔力などは些細なことでしかなく、普通に食事するよりも魔力を創ることができるぐらいでさえあった。
事実、食事中は恍惚の表情を浮かべる彼女はいつにもまして、黒木霊歌が今まで見たこともないようなとろけた顔を浮かべて少女の血を飲み続けている。
数分が経つと少女の中にあった血液は全て真罪澪の魔力へと変換され、少女は血液分しぼんだ状態で真罪澪の腕に力無くぶら下がり、腕を抜かれると支えをなくしたために地面へと重力に従い落ちた。
「どうだった? どうだった?」
真罪澪は自分の方法の評価が気になったらしく黒木霊歌に元気三割り増しで尋ねる。
「ちょっと地味だけど、魔剣らしさが充分出てたし、死体のの姿も良いね。私はいいと思うな」
肯定されたことが嬉しいのか「でしょ? でしょ! じゃあ、あと一週間しか無いし東京行こっ!」そう言って彼女の服の袖を掴んで走っていった。
「ちょっと、服伸びるじゃん」
そうは言うものの笑顔で二つの死体を背に殺人鬼は東京へと向かっていった。