複雑・ファジー小説
- Re: 【厨二的擬人化】聖剣少女【コメントを下さい】〜第二節〜 ( No.7 )
- 日時: 2012/01/08 09:47
- 名前: 白波 ◆cOg4HY4At. (ID: lD2cco6.)
零章〜剣は持ち主を選ぶ〜 第三節
彼女『強固な刃と稲光の剣“カラドボルグ”』の人間の姿であるカーラ・エイシアは、一週間前にも関わらず、持ち主が見つからないことに焦りを感じていた。
彼女の詳しい姿は記述された様子はないが、かの聖剣『守り抜く湖の剣“エクスカリバー”』の元となったという話から、その東京という場所には似合わないほど綺麗で、傷一つ付いていないような金髪と、カラーコンタクトも何もつけていない、天然の赤い瞳を持っていた。
そして、彼女はその赤い瞳で、街中にいるはずの持ち主になれる素質がある人間を隈無く探し続けていた。
なんでも、聖剣には持ち主に相応しい人間を探し出す能力がデフォルトで備わっているらしく、カーラも例に漏れず、その感覚にも近い能力を使って、自分の持ち主に相応しい人間を探し続けていた。まあ、二年間と十一ヶ月、未だに持ち主は見つかっていないのだが。
「従姉にあたる私が、エリサの企画に参加してあげようと思っていましたが……。そもそも、パートナーが見つかりませんの……」
そう言いながら、どこか自信を失ったようにふらふらと歩いていると、より一層その感覚が強くなった。
カーラは、高鳴る期待に、その無い胸を膨らませて、その感覚が強くなっていく方向へと、その足を弾ませながら、走るようにそこへと近付いていく。
そして、十分後、確かにその場所自体には着いたのだが、そこに人気はなく、たった一つのギターのような楽器が入るような箱が一つ置いてあるだけだった。
「これは確か……ギターとかを入れる鞘のようなもの……ですの? なら、奥に人がいる可能性は高いですわね」
そう言って、一本の聖剣である彼女は、ケースを抱えたまま、感覚に惹かれるように奥の道へと入っていく。
賢明な読者なら、もうお分かりであろうが、カーラがそこで見た人物、持ち主に相応しい人物こそ——誠条渚だった。
数人の男に対して大立ち回りを繰り広げる彼女。そして、その横で震えている二人の女。それを見たカーラは、一瞬で状況を理解する。
ああ、この、当然のように少女達を助けるような、正義の代名詞ともいえるような彼女こそ、私の持ち主に相応しいのだ——と。
そして、彼女が去っていく時に、カーラは渚に話し掛けた。