複雑・ファジー小説

Re: あやかしの花嫁【更新】 ( No.23 )
日時: 2012/02/11 16:48
名前: 刹那 ◆V48onzVAa6 (ID: vWRv9TUU)


「神流、少しいいか?」
 満月がのぼり始めた頃。扉が開いた。
「い、いいけど」
 戦争という言葉に悩み続け、ボーッとしていた神流は我に返って立ち上がった。
「ノックくらいしようよ」
「のっく?」
 皇は可愛らしく小首を傾げる。
(あ、そうだ)
 ノックというのは英語だから、皇達は知らないのか。
「部屋に入る時は扉を叩いてってこと」
「ふむ……分かった」
 なんだか皇は妙に納得して頷いた。
(……って!!)
 仮にも皇はあやかしの世界の王なのだ。
 王様にそんな口を利いてもいいのだろうか。
「あ、あの、皇?」
「何だ?」
「私、あなたにすごい親しく話しているけれど……。大丈夫?」
「そのようなこと、気に病んでいたのか?」
 皇は瞠目して、フッとはにかんだ。
「親しく話してくれる者がいて、嬉しいが」
「そ、そうなの……?」
 何だか拍子抜けした。王という存在はもっと高飛車で、敬わずにいないと斬首など極刑に処されると神流は思い込んでいたからだ。(昔そのような冷酷な王の物語を読み、その印象が強烈に残っているのだ。)
「……ところで、だ」
 ふと、重苦しい空気が落ちる。
 神流は覚悟した。
 これから皇が話すこと。それは、恐らく—。
「これから、戦が始まる」
(……やっぱり)
 先程皇と李王が話していたこと。
 それだろうと、心のどこかで理解していた。
「詳しくはこの世界の者でないおまえには話せないし、話しても理解できないとは思うが……。以前おまえを襲った〝鴉〟が反乱を起こしているのだ。このままでは殺戮に発展しかねない。その沈静の為に、戦として出向かなければならないのだ」
 その言葉に、神流は納得した。
 日本は第二次世界大戦以後戦争放棄を約束した国だ。その後の生まれの神流は戦争には縁はない。
 そんな神流でも、戦争が皆が悲しむとても気持ちのいいものではないことは分かる。
「戦争は私も決して好きこのんでやるわけではない。だが放っておいたら関係のない者まで巻き込まれてしまう。その為には戦いで戦いをおさめなければならないのだ。……分かることはないと思うが」
 その為には仕方がない。
 そう皇は言うのだ。
 確かに分からない。だけど。
「それなら……皇は生きてよ」
 ぽつり、と紡がれた言葉。
「その意志が正しいって思うなら、勝って、その意志を貫いて」
 戦いを免れることができないというなら、せめてその意志を未来に繋げて。
「……ああ。必ず、生きて帰る。その間留守を頼む」
 神流には戦う力など欠片もない。
 大人しく皇達の帰りを待つ他にはないのだ。
「分かったわ」
 神流は深く、力強く頷いた。

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