複雑・ファジー小説
- Re: あやかしの花嫁【キャラ&参照200突破リク募集】 ( No.26 )
- 日時: 2012/02/16 21:49
- 名前: 刹那 ◆V48onzVAa6 (ID: vWRv9TUU)
*キャラリクありがとうございます。後々発表致します*
「では、神流様もお気を付けて」
李王の顔が険しい。
まるで死地に赴くように。
否、本当に死地に赴くのだが—。
「分かりました」
王城に残る神流だが、決して安全とは言えないらしい。
『敵の誘導作戦として、刺客が王城を燃やしたり内部に侵入する可能性がありますからね』
その時に殺されないという保証はない。そう李王は淡々とレポートを報告するような口調で言う。
『また、護衛に何人か人員を割きますが、勝てる保証は完全ではありません」
あやかし達は、それぞれ妖力というものを持っているのだという。
〝鵺〟は風を操る。対して今回戦う〝鴉〟も同族故風故、相殺されてしまうのだという。
『一応護身用にこれを渡しておきます』
と渡されたのはずしりと重い剣。
『振り回せば適当に当たりますから』
(……って)
ろくに剣を持ったことのない神流にどう振り回せと言うのだろう。
正直、持つだけでいっぱいいっぱいだ。
(お城に刺客が来ませんように……そして、皇や李王さんが無事に帰ってきますように……)
神流は翼で駆けてゆく鵺の軍勢を見送りながら、そう祈ることしかできなかった。
月のない夜。
真樹は与えられた他の棟にいることだろう。
(本当に……来ないよね?)
足音ひとつしない静まりかえった城は不気味だった。はっきり言って命の危険も伴うだけに、肝試しよりも怖い。
歯がギチギチとうまく噛み合わずにそう音を立てる。
怖い。
そんな感情が心中を渦巻いて消える事はない。
すると、窓が大きな音を立てて開く。
衣が翻るような音も。
(……え)
たとえば、相当やり込んでいたゲームにバッドエンドフラグを立ててしまった時のような。
たとえば、徹夜して勉強したテストが赤点だった時のような。
いや、それ以上に、神流は絶望に打ちのめされた。
恐ろしくて振り返ることも出来ない。
背筋が粟立つ。
もしもこの世に神様がいるのならば、とても残酷だ。
どうでもいいことは叶えてくれるのに、重要な事はなにひとつ叶えようとしてくれない。
現に、こうして。
神流の背後に。
「お嬢ちゃん、誰だい?まぁ誰だって殺すんだけど!!」
刃の音を立てた、鴉の刺客がいるのだから。