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複雑・ファジー小説
- Re: あやかしの花嫁【コメ求む】 ( No.41 )
- 日時: 2012/03/11 14:31
- 名前: 刹那 ◆V48onzVAa6 (ID: vWRv9TUU)
- 参照: http://koebu.com/koe/cd11f1e6dd12fa94bf100a389286f749329e519d
「……どういうことだよ」
刺客が仏頂面で神流にそう尋ねてくる。
先程はあまり気にしていなかったが、神流を襲ったのは男の刺客だった。
柱に手首を縄で縛られ、胡座をかきながらこちらを殺気に満ちた瞳で睨んでくる。
「どういうこと、って……」
私にそう聞かれても。
寝着として渡された時代劇によくある白い着物の上に緋色の掛け物を纏い、神流は困惑の表情になった。
「冗談じゃねぇよ!何でオレ生きてるんだよ」
刺客は本当に憤っているようだ。
「オレは〝鴉〟お抱えの〝闇〟だ。お前を殺す為に使わされたんだよ!でもオレは失敗した。それは明確だろう。なら殺せよ!」
それが、この世界の道理だから。
彼はそう言う。
だが、神流はその道理を知らない。
だから。
「それなら、殺さない」
「ハァ!?」
彼は瞠目する。当然だろう。神流自身も驚いているのだから。
「だってそれであなたは楽になるんでしょう?なら楽なんて一生させてあげない」
意地悪い、と自分でも思う。
自分でない意志が語っているようにも思えた。
「あなたの名前は?」
「……梓」
彼—————梓はとても不服そうに頬を膨らましながらそう答えた。
「じゃぁ、梓。これからは〝鴉〟の一員として〝鵺〟に仕えなさい。逆らったら—————」
ッ、と神流は梓の首元に刃先をやる。
不敵な笑みを唇にのせ。
「分かってるわよね?」
—————後に伝説と語られる〝鴉〟の謀反の裏側では、こんなことが起こっていた。
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