複雑・ファジー小説

Re: 童話の国のアリス 第Ⅳ章 ( No.12 )
日時: 2012/04/29 21:36
名前: 竹中朱音 (ID: hsews.TL)

第Ⅳ章〜我儘王女 後

「どうしよう!」

アリスはパニックになってしまいとなりにいたチェシャ猫を見ると——…

いない!ああ!なんて薄情な猫なんだろう!とアリスは言いそうになった。

ハッターは胸ポケットから白銀の拳銃をジャックに向け、ぎっと睨む。
そして視線をゆっくり女王に向ける。

「女王様!この子はまだ女王様とは違って10歳という幼子。故にたった一回の失言で打ち首はあまりに大人げない…」



女王はハッターをじぃっと長く睨み、 しばらくしてジャックを下がるように命令した。

「もめごとは終わったかにゃ?」

「この薄情猫!」

「いにゃはにゃ。俺は平和主義なんでな。」

また何事もなかったかのようにいつの間にか出て来た。

女王はむすっと口をとがらせてアリスにふてくされながら言った。

「わらわはお前と違ってずぅっと長生きしているのだ。だが理由あってこんな小さな姿なのだ!」

そう言いながら首につく大きなリボンに隠れるように巻きつくモノクロのチョーカーを触った。

アリスは不思議な感覚だったが、確かにハッターがティーパーティーで言ってたように、こんな小さな姿だったら幸せどころか王子さまだって相手にしないだろう。

「まぁいい。お前なぜここに来たか解るか?」

「いいえ、まったく。」

女王は得意げにニヤついた口元を隠すようにハートのロッドで口元を隠した。

「わらわのお願いをかなえてくれたらお前の願いを3つかなえてやろう。女王は何でもできるのだ。」

アリスは片目をピクリと細める。

「なぁに簡単なことだ。かの有名な童話の話を少々いじって姫たちを従わすのだ。」

「それってイイこと?」

「善しも悪いもここではわらわがルールだ!」

女王は少々怒鳴り気味に言った。だが女王は続ける。

「お前、元の世界に満足していないだろう。わらわに従えばお前の望む世界がある。もうあんな思いしなくて済むのだぞ?」


 ——そうだった。
ここに来る前の世界でのアリスはいじめられている。
もし女王に従い、お願いを聞いてもらえたら…


  もうあんな思いしなくてもいい
    泣いたりももうしないかも
       友達だってできる


アリスは顎を指でトントンして考える。
しばらくの沈黙に皆の目線がアリスに集中するのだ。





















「———…そうね。決めたわ。…私は——」