複雑・ファジー小説

Re: 童話の国のアリス 第Ⅷ章 ( No.38 )
日時: 2012/04/29 21:57
名前: 竹中朱音 (ID: hsews.TL)

第Ⅷ章〜ワンダーゲートの先には… 後

「ふむ…これは摩訶不思議。交渉成立じゃ。」

青い芋虫はフードの胸ポケットから9枚に束ねられたチケットをアリスへ渡すと、また水煙管をふかしてキャンディーをまるで宝石のように見とれていた。



三人は邪魔しないように静かに森を出て、また白うさぎが説明を始める。
白うさぎは何も言わずアリスの前に手を出した。
アリスはさっきもらったチケットを白ウサギへ渡した。

「ごくろうアリス。よくやりました」

白うさぎが心なしか少し微笑んだように見えたアリスはとっても嬉しくなり、顔が赤くなって目を輝かせた。初めて見た表情だからだ。

「…このチケットはハートの女王には秘密で手に入れてる。なのでこれは極秘なのです。」

「はい!」

アリスはこくりとうなずきながら返事をした。
となりのチェシャ猫は目をつぶりながらこくりとうなずいたので、アリスがチェシャ猫の手を揺らしてみた。
するとびくりと肩を上げて、目を見開いてあたりを見渡し始めた。
どうやら寝ていたらしい。アリスはいつ寝るか解らないのでたまにチェシャ猫を確認するようにした。

「で、このチケットには
          <1.白雪姫>
                    と書かれています。」

「白雪姫?」

「そうです。女王の使いは<白雪姫>の童話へ入り込んでいる。というわけです。」

アリスは笑顔になった。

「私白雪姫すきなの!」

「まぁお前が知っている世界じゃないのは確かだニャ〜」

アリスは意味が解らなくチェシャ猫を見ると、また妖しくニタニタとニタついて目を細めた。


「さぁ、アリス、リングのある右手をチケットへかざしなさい。」

「あ、はい!」

アリスは言われた通りに少し怖がりながらもゆっくりチケットへ手をかざした。

するとチケットからピンクの煙が出たかと思うと、チケットは消えて、代わりにアリスの身長をはるかに超える大きな真っ白なゲートが出てきた。白いゲートのドアにはリンゴの形をしたステンドグラスが施されており、どこかで見たようなゲートだった。

アリスもチケットがゲートになって正に唖然。


「さぁ、参りますよ。」

白ウサギが重そうゲートのドアを開けると、ゲートのドアの先には、沢山の花や木々が見え、泉があり、遠くに小さな古い小屋があった。

「これってとってもすごいこと…私白雪姫に会えちゃうの…?」

「これからたくさんのお姫様に会えるぜ〜」

チェシャ猫はアリスの手を引いてゲートの中へ入って行った。