複雑・ファジー小説

Re: *Alice in Crazyland*第Ⅲ章 ( No.6 )
日時: 2012/05/03 10:56
名前: 竹中朱音 (ID: hsews.TL)

第Ⅲ章〜狂笑 後

「さぁ!ティーパーティーだ!ヒヒヒww」

灰色の狂ったウサギが茶渋が目立って飲み口が欠けているティーカップを雑にアリスの前に置き、ティーポットから冷めた紅茶をじゃぼじゃぼと注ぎ始めた。
だけどアリスはお砂糖とかが無いととてもじゃないけど飲めません。この紅茶は冷えているのでアリスにとってはとっても飲めない!

「あ…あのう…角砂糖とかシュガーとかミルクありません…?」

「ほら!角砂糖だ!ありんこめ!ヒャハハハwww」

角砂糖をまるでサイコロのように木の机に叩きつけて灰色のウサギが投げるもんだから、すっかりアリスはおびえてしまって、そそくさと投げつけられた角砂糖をティーの中に入れた。

「ああ!自己紹介が遅れたね!僕は<帽子屋>マッド・ハッターさ!で、この狂った灰色が三月ウサギさ!」

三月ウサギは紅茶をズズズズと音を立てながらぱちぱち目をさせている。あまりに早いせいか、だんだん三月ウサギの眼は白目になってきてる。
そうしておもむろにハッターもポケットから<ドクロ>のマークが入った銀のドロリとした液体を少々紅茶に入れて、金のスプーンでガチャカチャかき混ぜおいしそうに飲んだのだ。

「チェシャ…あれってなぁに?」

「頭が悪くなっちゃうお薬さ。」

「ふぅん。不思議!」

アリスは紅茶を少しだけ飲んで、眉間にしわを寄せながらそっとまた机の上に置いた。

「さぁアリス!君がなぜここに来たか話そう!簡単に言うとハートの女王の満たされない欲のせいでほかの童話をぐちゃぐちゃにしているんだ!女王を説得させるために同じ本の主人公<アリス>にお願いするんだ!」

「満たされない欲…?」

アリスはマフィンを取ろうとした手をぴたりと止め、眉間にしわを寄せる。

「…幸せじゃないか・・・やっぱり彼女は悪役女王だけど幸せは誰でも願う事、それを求めて彼女は物語の【ヒロイン】に嫉妬をして自分がヒロインになれるように童話から消そうと企んでいるんだよ…それに…僕の…僕のアドルフ…ぐうぅあああああ!!アリス!頼む!童話と僕の親友を救ってくれ!頼む!!!」

「ハッター!おちつけ!」

チェシャ猫が目をこれでもかというぐらい見開いて、ギザギザの歯を見せながら激しく威嚇をした。

ハッターが我に帰ると、おでこがぶつかるぐらいアリスに近づいていて、アリスはびっくりして硬直していた。
ハッターは額の汗を手の甲で拭いながらまたあの明るい声でアリスに言った。

「ごめんね…薬のせい…」

三月ウサギはクププと笑いをこらえて、チェシャ猫は足を相変わらず組んで、ニタリ笑いながら言ってきた。

「アリスは<49人目のアリス>だからみんなみ〜んなアリスがクイーンの首を刎ねる日を心待ちにしているんだぜぇ〜」

「じゃぁ48人のアリスは?」

「47人は弱い心のせいで女王に従ってしまったんだぜ、甘い蜜で誘惑してな、城に行けば、白いバラを赤く塗るアリスとか掃除しているアリスとかメイドのアリスとかいっぱいみれるにゃぁ〜」

「たとえばどんな誘惑?」

「そりゃぁ【大金持になれる】とか【有名になれる】とか【存在理由をくれる】とかかにゃ・・・?」

チェシャ猫がニタニタ嬉しそうに笑っているが一つ変なとこがある。

「じゃぁあと一人のアリスは?」

ハッターと三月がティーカップを口につけながら顔を見合わせている。そしてアリスに苦笑い。

「ハッター…三月…48アリスを…ばらばら…」

ぐるっとみんなで後ろを向くと、いつの間にか茶色のセーターとマフラーをした少年が地面に寝ていた。

「ヤマネか…さぁ、ハッター話すんだにゃぁ〜」

チェシャ猫はもうこれ以上にない顔で嬉しそうにハッターの肩を優しく、言わせるために撫でた。

「その…みんな<弱い心>だからいけないと思って…その…心をネジとかでまいたら強くなるかなって…開いちゃった…」

「え…そんな…ウソでしょ…?!」

アリスは恐怖で足ががくがく震えが止まらない。

「悪気は無かったんだ!僕らも焦ったよ!どんどんアリス48号が動かなくなっt…」

「いやあああああ!」

アリスはすっかりおびえきってしまってチェシャ猫にガバっと抱き着いて顔をうずくめる。チェシャ猫はそんなアリスを優しく撫でて、でもどこか寒気がする声で言う。

「アリスわかったかい?ここじゃぁ童話も人も狂っているんだぜ。改めて…     ようこそ アリス!」