複雑・ファジー小説

Re: 童話の国のアリス 第14章 ( No.71 )
日時: 2012/04/29 21:48
名前: 竹中朱音 (ID: hsews.TL)
参照: http://www.youtube.com/watch?v=SHr7BjgjMJY

第14章〜トカゲと芋虫と預言

「女王が一人になった時を狙うのだ。ジャックの前ではやつが女王が言い過ぎないように口止めするからな、そいつさえいなければあとは女王が一人でべらべら話すであろう」

「わかったわ!ありがとう、…ところで今日はなぜこのパーティーへ?」

眉間にしわを寄せていかにも不満げな態度をとる。

「わしが来てはいけないとでも?」

「いえ!まったくそんなこと思っていないわ、ただ青い芋虫さんが人が大勢いる場所なんかにいるイメージがなかっただけよ?」

青い芋虫の機嫌が悪くなってしまったと思い言い訳を考える、その間に青い芋虫は大きく息を吸った。
ふぅ、と息を吐くとあたりにあの青い煙を吐きだした。

「まったく、これだから…」

「まって…うぐ…ゲホッ、ゴホ!」

青い煙があたりを覆う。
目に染みる煙を手で払いのけて周りが見えるようになったころには青い芋虫は消えていた。
アリスはポケットから白いレースのハンカチを取り出して染みる目からあふれる涙を拭いた。



さて、青い芋虫が言っていた【女王が一人になる場所】・・・
そういわれて思いついたのは手洗い場、あそこならジャックも入ってこれない!さっそく手洗い場に向かうことにした。









流石女王の城、いくら手洗い場だとはいえ手は一切抜いていない。
あたり一面大理石、大きな真珠でふちどられた鏡に水垢のついていない銀の蛇口、もちろん髪の毛一本落ちていない。

「あ…」

不意に鏡を見るとアリスの髪は少々乱れていた。
丁寧に手櫛で整えて前髪を手を濡らしてちゃんと斜めになるように整える。そして髪飾りに手を伸ばした時、入り口から女王が入ってきたのだ。
予想外の早い登場。
まったく、何を言うかどうするかなんて考えてもいなかった。

「ご…ごきげんよう女王様!」

「アリスか、あぁ、楽しんでおるか?」

「はい、とっても!」


気まずさから見え見えの作り笑い。
女王は手提げの小さな可愛い鞄から薔薇の形をしたボトルを取り出して1、2回吹きかける。


 さて…何を話したら良いか?
早くしないと女王は出て行ってしまう!



手洗い場にはただホールで舞い踊る仮面の紳士淑女に合わせてバイオリンやピアノたちが奏でる「ハチャトリアン作、仮面舞踏会より【ワルツ】」が優雅に鳴り響く。