複雑・ファジー小説

Re: 素敵な魔法【無期限キャラ投票開始!!】 ( No.122 )
日時: 2012/08/08 13:04
名前: 桜月 ◆//UrPiQv9. (ID: .GCH7A/G)

第23話 ミズキ視点

「……」
ここは屋上。もう、ここだけになってしまった。
人間界と同じ景色が見える場所は。この学校ではここだけ…。
茜色の蜻蛉が前を横切った。
向こうでも、同じ景色が見えるんだよね…。

ここに来たのは、一人になるため。だけど、既に屋上には瑠衣さんと先輩がいた。
何か、大事な話をしてるみたい…。


「あの… 先輩…?」
「呼び出したりしてゴメン。話があるんだ」

「何でしょうか?」
茶髪のポニーテールが揺れた。
大きな瞳で先輩の顔を覗き込んでる。



「……好きだ」


「…え?」

息が止まりそうになった
  ___先輩……ッ……!!



___次の瞬間、駆け出していた。
____何処という目的地なんて決めてない。
ただ、ただ何も考えずに駆けていた。
身体の向くままに___。




_____いつの間にか、非常階段に座り込んでいた。


一滴の水が指先に落ちてきた。


「雨だ……」

天気予報は快晴だった。
それを思い出して、私は思った。
__これは、今の私の気持ちだ___

ぽた。 ぽた。
頬をつたって涙が落ちてくる。

「うっ……」

涙がこみ上げてきた。もう、留まらない……。

「うわああああああああああああああぁっ!!!!」

雨も、小雨なんかじゃなかった。__当分止まない。
私は私で、雨になんか負けないくらい泣きじゃくっていた。
うるさい。雨も、私も。

涙と雨でびしょ濡れになった身体から水が静かに滴り落ちてくる。



しばらくして、止まずの雨と一緒に気配を感じた。
気になって、振り返ったけど、涙でぐしゃぐしゃの顔ではよく見えなかった。

「カイ?」

その人はにっこり笑っていた。
見たことある笑顔だった。懐かしい感じもした。