複雑・ファジー小説
- Re: 殺戮 は 快楽 で キャラ募集なう+参照600感謝! ( No.80 )
- 日時: 2012/03/22 17:08
- 名前: 柚子 ◆Q0umhKZMOQ (ID: vQ/ewclL)
それから数分間、室内は沈黙に包まれていた。目には見えない小さく大きな重荷と、どんよりとした空気。正午近くなり天まで高く上った太陽のせいだった。
「——俺は、六人での任務でなければ参加するつもりは無い」
腕を胸の前で組み、目を閉じながら、三日月兄……三日月上弦が口を開く。上弦が話し合いで起きた沈黙を解除させるということは有り得ないことであった。下手すれば、一日中。いや、一ヶ月間も話さずに生活するほど声を出さない人間であったのだ。三日月上弦という男は。
「三日月兄、どうしてだい?」
「山中の言うとおり。この任務に影人守が居ないのは辛いだろう。
陽人……。影人と対になるということは、おおかた、“陽に潜む人間”といったところだと推測できる。イコール、陽の時間帯にしかアビリティは使えない。
……そんな考えが通用するとは限らない。
陽人たちが、影人と同じように影でも能力を使えるとする。相手の力量が分からない今、影人だけで行動するのは危険すぎる」
全ての問題を、一つずつ潰しながらヨミを肯定する上弦の考えは、正しい、の一言に尽きるものだった。それを示すのに、他の言葉をいらない。ただ、正しいと言えばそれだけで十分だった。
伊野塚も、上弦の言葉に否を唱えようとしなかった。伊野塚自身、上弦が口を出さないと思っていた訳ではないのだろう。そう思っていた訳でなくても、上弦の言葉に咄嗟に反応することが出来ないでいた。
ヨミは、意外そうな顔で上弦を見ていた。初めてだったのだ。上弦が自分の意見で人に合わせようとするのは。
「だから俺は山中……影人守として今日まで活動していたヨミの意見に合わせよう。
古参の意見ほど、説得力があるものは無い」
いうなれば、凛とした態度。
清清しいほどに格好よく、伊野塚の意見を切り捨てる。
声を上げて愉快そうに笑う伊野塚が、何処か奇妙に見えた。