複雑・ファジー小説
- Re: 魔術と人造人間の一日。【コメ求む!!】 ( No.6 )
- 日時: 2012/03/12 12:50
- 名前: 刹那 ◆V48onzVAa6 (ID: vWRv9TUU)
§一話 前兆(3)§
それは、ようやく昼飯という四時間目の時に起こった。
ドゴォォン!!
という鼓膜が破れそうになる程の、爆発音に似た音がどこからか響いた。
途端、クラスの空気がざわつき出す。
「何だ?」
「爆発か?」
「みなさん、落ちついて!!」
教師はそう叫ぶが、みなにその声が届くことはない。
『−−−−−奈木高等学院の生徒及び教師に告ぐ』
スピーカーから外部の音声デバイスを通じて声が響く。
そんな尊大な口調で連絡をしてくる場所は、裕貴が知る限り一つしかない。
「−−−−−日本総司令部」
誰ともなく、そう呟いた。
だが、なぜ日本総司令部が切羽詰まった様な声音で連絡を入れるのだろう。
先程の爆発のようなものと関係があるのだろうか。
『ロシア総司令部より、刺客を日本陸土に放ったとの報告があった。標的は奈木高等学院だ。今すぐ戦の準備をせよ』
—————ロシア。
それは、今日本がアメリカと共に戦っている北の大国だ。
だが、それはあくまで大人達の戦いで、まさか自分達の通うここが標的となるとは思わなかった。
(でも、本来戦場以外に魔術戦を仕掛けるのは国際魔術刑法上禁止じゃ……?)
国際魔術刑法。それは魔術が戦争に使用されるようになった際に国連が定めた掟だ。戦争を行っている際、敵国の国土を魔術戦で攻めることは第何条かは忘れたが禁じられている。
これを破った国には国連が世界に溢れる魔術のエネルギーを集めた国連秘伝の魔術により破滅に導く裁きが下されるのだ。
「つまり、ロシアは国連を敵に回してもオレらを殺そうってノリなんだろーなー」
颯斗が頭をかきながらそう言う。
危機は、すぐそこまで迫っていた。
「—————全員、魔術実習の際のチームに分かれて出動」
担任がそう言った。
週三時間の実践。そのチームは能力別に分けられる。万が一戦争が起こった際のチーム編成だ。
皆戦争とかありえねーと気楽に実践を行っていたのだが、それが冗談ではすまされなくなってしまったのだ。
戦場をここだけにしなければ、京浜地区の親や親族、名も知らない何千万人の命が危険に晒されるやもしれない。
—————戦わなければ。
「—————了解」
§
「あーあ、つまらないの」
カーテンに閉ざされた薄暗がりの中。
無邪気にくすくすと笑う幼女の声がする。
幼女の手が弄るのは—————人骨。
分断されたいくつもの人骨だった。
頭蓋骨を肘置きの様にしながら幼女は淡く微笑んだ。
「ねえ、まだ足りないの。もっと甘美な力が、肉が。欲しいの、頂戴」
それを見ていた青年が大きく嘆息する。
「—————落ち着け」
「えー」
幼女は可愛らしく唇を尖らせる。青年は幼女に言い聞かせるように言う。
「もうすぐ力も肉も【喰える】から我慢しろ」
「はーい。楽しみー」
リボンのついた白いカチューシャをつけたプラチナブロンドのボブヘアがサラリ、と揺れた。