複雑・ファジー小説
- Re: 鏡の国の君を捜して…… ( No.21 )
- 日時: 2012/03/25 14:50
- 名前: クリスタル (ID: 3Em.n4Yo)
太陽の光がまぶしくて、目が覚めた。既に朝になっていた。
なぜ? 確か私は、謎の女性とであって、命を狙われて、女性に鏡の中に連れて行かれて…?
なるほど。簡単な事じゃないか。あれは、全て夢だったんだ。
「夢落ちだー」
ガバっと起き上がってから、気が付いた。夢じゃない、と。
大体、太陽の光が差し込んでいる次点でおかしいんだ。私はいつも、カーテンを閉めているから。もう、閉めるのが習慣だから。
よく見ると、私は棺おけで寝ていたようだ。え、死んだの? 私。
確認したところ、周りは、マイナスイオンに満ち溢れた森だ。
棺おけで寝ていて、なぜか森の中にいる。おそらく、私は死んだのだ。ここは天国なんだ、きっと。
「じゃあ、まだ寝ていてもいいよねー」
死んだのなら仕方がない。グッバイ、ハバナイスデイ。私の人生よ。
ご丁寧に、棺おけの蓋も近くにあったので、自分で閉じた。埋葬でも火葬でもしてください。
——————タッタッタッ
遠くから、走ってこちらに向かってくる、そんな音がする。ここは天国なのだから、天国を案内してくれる天使達か、二度寝を許さない鬼母のような神様だろう。
足音は、徐々に私との距離を縮めていく。
「………………………………………」
ピタリと、棺おけの近くで足音が止んだ。明らかにこの棺おけに用があるんだ。
次の瞬間、棺おけが回り始めた。どうやら棺おけが蹴り飛ばされたらしい。
4,5回回転して、棺おけは止まったけれど、私の世界はぐるぐるしていた。吐きそう。吐いた。オロロロロロロ。
「……うぇ」
棺おけの蓋があいていて良かった。閉まっていたら、中で嘔吐していたわけだし。
とりあえず、棺おけから這い出て、棺をけった主の顔を確かめた。エリーゼさんだった。
「あんたの『夢落ちだー』って言う声で、あんたの居場所がわかったのよ。あたし、耳いいから」
生き生きと清々しいドヤ顔で軽い自慢された。嗚呼、できる事なら殺したい。最も悲劇的な形で死なないかな。冗談だけど。
ドヤ顔のままのエリーゼさんが、見下すように言う。
「何で棺おけで二度寝したの? 有りもしない妄想の王子が、毒リンゴで眠りに着いたあんたにキスしてくれるのでも待ってたのかしら?」
「あー。眠っている私を見て、死んだと勘違いして絶望して、死んでくれるのを待ってます」
エリーゼさんは、鼻で笑って「とりあえず、本題にうつるわよ」と行って、私を無理やり立たせて、何処かへ歩き始めた。