複雑・ファジー小説

Re: 鏡の国の君を捜して…… ( No.66 )
日時: 2012/07/15 19:13
名前: クリスタル (ID: YOt4GnQH)

「みかんの花も鮮やかに色づき、爽やかな薫風が吹き渡って、すがすがしい感じの今日この頃、いかがお過ごしでしょうか」

 世界2週旅行を終えて帰ってきた(と、自分で語っていた)青虫さんが私に良く分からない挨拶をしてきた。

「んー。いつもどおり、良い日々は送れてません」

 おうちの庭にて、プチプチとバラの花で花占い(今日の朝食を食べるか食べないか)していたら、どこにどのように隠れていたかは謎だけど、花の中から青虫さん登場。

「君はまたそんな時間の使いかたして、この世には生きたくても生きられない人が…知ってる中で14人いるんだぞい。てか、学校に行けぞい」

「私は独学ですからぁ。それにしても相変わらず、キャラが定まりませんねぇ」

 青虫の沸くバラの花なんて気持ちが悪いので、ぽいっと地面に捨てた。

「君の家の庭は、相変わらず綺麗だね。でも、虫がぼく以外に見つからない」

「ええ、虫一匹として生かしておきません」ぐしゃっ

 確かに足の裏には手応えがあった。足を上げると、青虫さんの死骸は無く、辺りを見回すと、なぜか家のドアノブに張り付いていた。

「生きたくても生きられない人がいるって、さっき言ったのに、むやみに人を殺めてはいけません!」

 あなたは人ではない。

「…フぅ…家に殺虫スプレーがあったはず…」

 青虫さんは本当に不可解な生物。殺しても殺しても生き返る。それに、なぜかキャラが定まらない。いつも誰に対しても上から目線で非常に腹立たしい。

「殺虫スプレーなんて、オイラには効かないZe!」

「早く死ね」

 いつだったか、「どうして死なないんですかぁ? 死ねよ」と、言って見た事があった。「我の様な心の綺麗な虫に終わりは無い。不老不死なのだ」とか言われた。

「大体私は一人で居たいのに、どうして私にかまってくるんですかぁ?」

「君が生きたくても生きられない人々の事をわかってくれるまでSa! HAHAHA!

 『生きたくても』生きられない人々……。どうしてこんな世界で生きたいと思えるのか。私には理解できない。

「ねえ、青虫さん」

「何ぞね。われは全てお見通しぞね! くたばれって言いたいんだろう!? ぞね!」

「うん、それも有るけど……」









「私は、死にたいのに生きてる。生きられるから生きてる。死ぬのが怖いから生きてる。…そんな私に、生きる意味はありますか?」

 生きるのは、辛い。そのくせに死ぬのは、怖い。生きる事も死ぬことも怖いから、死んだように生きている。

 誰かと係る事を避けて、ほぼ一人で生きている。誰かと生きるのは怖いから。

 私といれば、必ず傷ついてしまう。同時に、誰かといれば私が傷つく。

 それが怖くて怖くて。そんな臆病者な私はどうすればいいですか?



 今日の目覚め方は、最悪だった。いつもいいわけでもないけど。大変、よろしくなかった。

 まず、いつもの悪夢で跳ね起きる。自分が寝ている空間がタンスの中であることを忘れて…この先はご想像にお任せ。

「ああああ…」

 ふらふらしながら、タンスから出ると、エリーゼさんが、自分の家のように紅茶飲みながらくつろいでいた。

「レイシーおはよう。…なにやら、爆発音に近い、凄い音がしたけど…頭、打った?」

「違います、くしゃみです」

「頭から、血が出ているように見えるのは気のせいかしら?」

「涙です」