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複雑・ファジー小説
- Re: チイサナセカイに飽きたなら。【再発!!】← ( No.1 )
- 日時: 2012/02/12 20:59
- 名前: ひゅるり ◆SDhkkrnOxE (ID: YKdGlOy5)
- 参照: メル友の欲しい今日この頃←
第零話 単なる序章曲。
少女は雲一面で覆われた空を人気の無い道路の真ん中で見上げた。
2月の寒空。雪の降る真昼である。
マフラーを鼻の下までぐい、と引き上げ、再び一歩を踏み出した。
普段、と言っても約3年ほど前まではこの都市もにぎわっていた。
国の中心部だったのである。
人々は1年の内に約半数が姿を消した。
三年前、この都市では様々な異変が起こったのである。
大規模な地震、奇妙な連続殺人事件、爆破テロ。
決定的な出来事が起こったのは二年前、研究所からの悪性ウイルス流出である。
都市は閉鎖され、荒れ果てた。
残ったのは人口は約16000人。9割が下層階級、最下層級の逃げ出すにも金の無かったいわゆる『貧乏人』で残りの1割は旧政府軍である。
少女は歩く、ひび割れた道路をただひたすらと歩いた。
足元に会った小石を一つ蹴飛ばす。
勢いよく跳ねとんだ石も次第に速度が遅くなりころ、と止まった。
行先に視線をやると人類の脚。
少女は咄嗟に身構えてその人物の顔の辺りに視線を向ける。
フードを被り自分に向かって背を向けているため性別は分からない。
年頃は身長、背格好、服装からして自分と同じ頃、多分17、8あたりだろう。
ゆったりとした動作でその人物は振り返った。
見たところによるとやはり男性。年齢もそう変わらないようだ。
「…あんた、誰?」
武器も持っていないような青年は口角を上げて緩く笑んでいる。
少女は青年に向かってゆっくりと歩いて行った。
背に回した手には一丁の銃を隠し持って。
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