複雑・ファジー小説
- Re: 【再発!!←】チイサナセカイに飽きたなら。【コメ求めます。】 ( No.5 )
- 日時: 2012/02/20 00:55
- 名前: ひゅるり ◆SDhkkrnOxE (ID: 2Ujo/OfH)
- 参照: メル友どころかリア友ともテストが忙しくて交流がry
第一話 走れ。ただただ走れ。
「あんた、綺麗な髪と眼だね。綺麗な赤色。緋色、って言った方がいいかな。」
青年は着ている服の黒と同じほどに目も髪も黒かった。
少女は何も言わずに歩く。
ぴたり、と歩くのを止めたのは青年の目の前。腕を伸ばすと喉元に届きそうな距離だ。
「誰。答えて。頭と体が離れ離れになりたくないなら。」
がちゃり、と小さく音を立てて彼女は持っていた拳銃を青年の喉元に押し当てた。ごくり、と唾をのむ振動が金属の冷たさと同時に伝わる。
「何だよもう、せっかく女の子見つけたのに。
ナンパしただけでぶっ殺すような女の子だったとは。」
へらへらとした様子で青年は少女に向き直る。
吸い込まれそうな漆黒の瞳に一瞬だけ吸い付くように少女は見いった。
ぱし、と拳銃を持つ手を掴まれたのはその時である。
ごとり、と重たい音を立てて足元に落ちる其れを彼女は目で追うとばし、と青年から己の手を振り払った。
「あらら、乱暴だねえ。君ってキレ性?
俺飴持ってるけど食べる?糖分でも補給しなきゃ。」
ポケットに青年は手を突っ込むとがさがさと中身をあさる。
少女は青年から視線を外さない様にしながらす、と拳銃を手繰り打寄せる。
「ありゃ、ごめんねえ、?飴なくなってたよ。
代わりにさあ、睡眠剤でもどうぞ。」
少女が眼を見開いて顔を引くのとぷしゅ、と粉末状の物がちいさい容器から噴出されるのが同時だった。
「あーあ、凄い反射神経だね。凄い凄い。」
口角を上げてにんまりとした笑みを浮かべるとぱちぱちと両手を合わせ拍手をする。
少女はそのまま数歩後ろに後ずさった。
パン! と少女の手元から軽い弾けるような音。
少女の腕が発砲と同時に高く跳ねあがる。同時に空中に高く放り出された拳銃。振り返ってそれを追いかけていくと
ずさ、と崩れ落ちるような音が背後から聞こえた。
拳銃を拾い上げる少女。新し弾丸を詰め込んで青年の方向を振り返る。
胴からは真っ赤な液体が溢れんばかりに流れ出ていた。
びくびくと幾度か痙攣をする青年に一歩一歩踏みしめるように近寄る。
釣り上がっていた唇は横一直線に下がり端から赤い液体が細い筋を作っていた。
「…。」
少女は無言でそれを見下ろすとかちゃり、と青年の額に銃口を押し当てる。
「すぐ、らくにしてあげる。から。」
引き金に引いていた指に力を入れようとした瞬間だった。
「ねえ、俺の演技力って凄いと思わない?」
釣り上がった唇を見詰める少女の細い脚にぶす、と細い中身の入った注射器が突き刺された。