複雑・ファジー小説
- Re: 【再発!!←】チイサナセカイに飽きたなら。【コメ求めます。】 ( No.7 )
- 日時: 2012/02/21 20:42
- 名前: ひゅるり ◆SDhkkrnOxE (ID: 2Ujo/OfH)
- 参照: 明日テストなのに勉強どころか課題が終わってなty
第二話 それは始まりの果実。
動きにくいことに気付く。
うっすらと眼を開くと廃墟のような場所だ。人が何人かいる。
少女は顔を伏せたまま状況を確認する。
右の頬の下は床に付いていてひやひやとした感覚から察するにコンクリートだろう。
背中もひんやりとした感触があるためこちらも同じくコンクリート。
薄く顰めを開けないため確認はしにくいが脚の本数からして約三人。
そのうち一人。一人だ裸足。一人だけ…、脚が一本しかないのである。
正確には義足を使っていて、ひざ下からの其れは真新しい金属がはめられていた。
足の指先の向きから三人ともこちらを見ている。
上の方は見れないので視線は何処に向いているのかは不明だが。
かつん、と軽い音がする。
義足が一歩分こちらに歩み寄ったのだ。
僅かに眼を見開いた。義足の持ち主は自分より少し年上の男。
23か4あたりだろうか。
「…あれ、起きてんだ。」
低めの声が鼓膜を震えさせる。
身体の動きが不自由に感じたのは手首と足首に服の上から巻かれているガムテープと思われるもののせいだった。
視線を上に向けるとやはり三人の人物像。
逆光のために顔が見えにくい。
「起きてんならさあ、何か言えばいいじゃん。」
「っぐ、ふ!」
腹部から伝わる鈍い痛み。
ぐしゃりと顔が歪んでいるのが自分でもわかる。
どすりとしたそれは男の義足だと感覚だけで分かるのにそう時間はかからなかった。
「ごめんねえ?こいつキレ性で。
あんたが"コレ"持ってることばれちゃって…ねえ?」
あの黒髪の男の声だ。
目の前に突きつけられた小さなカードを見て小さく声をあげる。
「あんたさあ、政府側の人間だったんでしょ?
女子高生だか何だか知らないけど、そんな制服何か着ちゃって。」
右半分には短い黒髪の目付きの悪い自分の写真。
学生証の様なその文面には政府軍の証である小いが凝ったデザインの星のマークと6ケタの数字が印刷されている。
制服の上着の外ポケットに入れていたのが仇となった様である。
どすり、と腹部に義足がめり込まれる。
少女は声にならないようなうめき声を出しつつ身体を折り曲げた。
「何とか言えよ。
それじゃ分かんねえし。」
「…っ、ぐ、あんたたち、レジスタンス…?」
通常の市民ならひっそりと暮らしている。
少なくとも『政府軍』というだけで暴力は振るわない筈だ。
「ああ、そうだよ。」
義足の男がもう一度足を高く振り上げた。
「止めな、みっともないじゃん。」
第三者の声と共にジャカジャカとしたロック調の音楽が聞こえた気がした。