複雑・ファジー小説
- Re: Dream Revival —再生の協奏曲— ( No.34 )
- 日時: 2012/03/26 13:50
- 名前: 夏樹 りん ◆IP0D6MCWdg (ID: mP9fdSv/)
「”ドリーム・アイランド”?」
首をかしげる来衣。それを見たソリチュードはかすかにときめいたとか、ときめいていないとか。
「ああ。ミーティア・アイランドの隣の島国なんだが……って説明いるか?」
「いらなーい。早く図書館いきたーい」
「はぁ……」
幼稚な来衣にため息をつく。ユイトと同じだ、とソリチュードは思う。ユイトも正直言うと、幼稚。本人に言うと怒られるし拗ねるだろう。拗ねる時点で幼稚だ、と思ったソリチュード。来衣は拗ねるというか、キレルタイプだろう。
美しい調度品がいくつもある部屋。広く、リビングのような部屋にはベット、机など個人の部屋に置いてあるようなものが置いてある。
ベットに一人少年が寝転がっていた。服装からして高い身分のものなのだろう。
「はぁ……どうしたら、いいんだろうか。ただ、決められた道を通って死ねばいいのだろうか……」
悩む少年は起き上がり、窓から空を見る。青く真っ青な空には二羽の小鳥が優雅に、舞うように飛び回っている。少年はこの光景に少し胸を痛めた。
——同じ、同じ”生命”だというのに、何故こうも違うんだ……
少年は鳥かごの中の鳥。自由など無い。ただ、決められた運命に身を委ねるだけ。それが、辛い。自由に生きたい。彼は強い夢を持っていた。
コンコン
突然聞こえたドアをノックする音。少年は不愉快にもなりながら「なんだ」と答える。
「レルフ様、陛下がお呼びです。直ちに王の間に来るようにと……」
ドアの向こうからする声は、若い女性の声——メイドの声だ。少年——レルフは、さらに苛ついていた。一番嫌いな人物に呼び出されるとは、思ってもいなかったから。
「レルフ様?」
「分かっている。下がれ」
「はい」
メイドは立ち去り、静かになる。
「……憂鬱だ」
レルフは頭を抱え、部屋から出て行った。王の間へ向かって——
「ドリーム・アイランドには、門をくぐって行くんだ」
「わざわざ門くぐんのーメンドクサっ!」
ソリチュードと来衣は家を出て5分ぐらい歩いていた。
そして、たった5分だというのに、来衣のことがかなり分かった気がした。
1つ、面倒なことが大嫌い。2つ、年上には必ず敬語。3つ、グダグダしているのは家のみ。4つ、ドS。5つ、ヤル気無いと目が死んだ魚のような目になる。
なぜ、たったの5分でこんなにも分かったのか。それは彼女自身の行動と、自ら話したのだ。
——コイツ、よく委員会の委員長になったな。
第一感想はこれだった。家での、生活ぶりからは絶対に想像できなかった。驚くと一発殴られたが。
——でも、アレが”素”なんだよな……ユイトとかは知らないのか……
と、考えていたがソリチュードは来衣の問いに答えた。
「門をくぐるにはな、ちゃんと理由があるんだそれは……」
「夢島と流星島は本来離れて存在しているため、橋などではいけない。しかし、門<ゲート>をくぐることにて、行くことが出来る。門<ゲート>には物質移動が出きる魔力があり、離れている所でも瞬時行くことが可能……でしょ?」
「! あぁ」
まさか、理由を知っているとは。関心したソリチュード。説明する手間が省けて良かったとは思っているが不思議でならなかった。
それに対して、来衣は自慢げ。これを世間にいう「ドヤ顔」というやつだ。
——これでも、日本の学校にいたときは学年3位だったんだぞ!
日本の学校の勉強と、門<ゲート>とは一体なんの関わりがあるのだろうか。