複雑・ファジー小説

Re: Dream Revival —再生の協奏曲— ( No.8 )
日時: 2012/02/25 21:40
名前: 夏樹 りん ◆IP0D6MCWdg (ID: mP9fdSv/)

ひたすら走り続け、もう走る体力も無いぐらいヘトヘトになった。近くの公園で一休みしている。何故か、右ポケットにあった200円でジュースを買い、側にあったベンチに腰掛けている。

「はぁ、白那と黒希大丈夫かな……」

ふと、上を見上げると夜空にある裂け目が大きくなっていた。

「ヤバくね!?」

みるみる裂け目が大きくなっていく。それと同時に来衣も焦っている。これからどうなるんだろう? 家族とは会えなくなるの? 死んじゃうの? 頭の中で自問自答。そんなんで解るはずが無い。
そして、裂け目から嵐のような風が吹き荒れる。何もかも、吹き飛ばすような風が。

「なんなの、この風!? うぅ……」

立っているのもやっとの状態。なんとか持ち堪えていたが、ひたすら走った後だった来衣は風により、飛ばされた。

「うわああああああああああああああああああああああ!!」

叫び声だけが公園に残った。










「うぐっ」

——時同じくして、別の場所。
黒希は何とか樹で風を凌いでいた。このまま飛ばされたらどうなる? そんなの結末は解っている。なんとしても生き延びなければならない。黒希はそう、強い意志を固めた。白那が言ったことの謎を知るために……

しかし、風は勢いを増すばかり。樹で凌いでいたとしても限界があった。

「うおっ」

なんとか右手で樹の根っこを掴んだ黒希。左手でも掴もうとしたとき、強い風がさらに強さを増した。

「うあああああああああああああああああああああああああああ!!」

このとき、黒希は死を覚悟していた。こんな強い風に飛ばされて、生き残るわけ無いと思っていた。

  私にできることは、これ位しかないけど、助けるから……
  今まで支えてくれた黒希を助けけるよ。

何処からか懐かしい声、白那の声がした。そして、黒希は闇に包まれた——








風に飛ばされた来衣。飛ばされて何処へたどり着くのかさえも解らない。来衣はただ、目を瞑っていただけ。

  キミって、意外と諦めるの早い? まぁ、僕には関係ないけどね。
  できる事はしてあげるよ。死なれ…いや、”消滅”されたら困るからね。

生意気な声が何処からか響いた。その刹那、来衣は光に包まれた。













「はぁ……」

少年はため息をつく、何故ため息をついたのか本人にも解らなかったが、何故か気分が乗らない。何故だ? 親友に負けたから? 自分が弱いから? 無力だから? ……背が小さいから?

「ちきしょう! ムカつくんだよアイツ! 自分が俺より背が高いからって……」
「でも、背が低いのは仕方ないだろ?」
「ユイトは私より低いもんね〜」

見下しているように二人の少年少女が言う。二人とも、少年より背が高い。

「ソっソリチュードにミヤ……いつから?」
「結構前から」

二人、ソリチュードとミヤの声がシンクロする。息があまりにもぴったりすぎで若干引いてしまいそうなユイトだった。

「ユイトってこの前、”別に背が低いことなんて気にしてないし”とか言っておきながら、やっぱ気にしてるんだね〜」
「なっ! それは……」
「それは?」

再び二人がシンクロする。

ここは、南国のように暖かく、緑豊かな島国の孤島。本島と孤島の間にある長いつり橋が本島と孤島を繋いでいる。流星が綺麗なことで有名な島——ミーティア・アイランド。
そこに住む、ユイト、ソリチュード、ミヤの3人は何時もと変わらない生活を送っている。

「そういえば、村長さんに聞いたんだけどね、誰か引っ越してくるんだって!」
「本当か!?」

ミヤが言い、ユイトが大げさに反応する。それをみたソリチュードは若干呆れている。

「楽しみだ……」

ミヤが言いかけたとき、空が光った。そして、その光が海へ一直線に落ちていった。

「何事だ?」
「一体、何が起きている……」
「なんか、よくわかんないけど」

人だったら助けないと

3人の意見は同じだった。