複雑・ファジー小説

Re: また明日. ( No.10 )
日時: 2012/02/29 19:13
名前: coco*. (ID: /u41yojS)

第八話【距離】



距離は、少しずつ、少しずつ。
縮まってく。




「……旭ちゃん、超嬉しそうだよ」

授業中、俺の耳元で森がつぶやいた。
森の方を見ると、明るい笑顔でこっちを向いていた。

「どういう事?」
「だからー、日向に『旭』って呼ばれるのが、嬉しいんじゃない?」

森が肩をつんつんと触る。

そうだ。
俺ははっと思い出した。

旭は……、俺が好きなわけじゃない。
俺に名前を呼ばれて嬉しいわけじゃない。

俺はまだわからない。

離れていた二年の間に、旭に何が起こったのか。
旭はどう思ったのか。どう受け止めてきたのか。

知りたい。
でも、そんな事聞けない。

複雑な顔してると、森が首をかしげている。

「なあ、森って旭と恋バナもうした?」
「え、えあ」

ぐいっと勢い良く森の肩を揺さぶる。
いつも森がするみたいに。

俺にされるがままの森は、混乱してる。

「な、なんでそんな事聞くの?! し、してないけどお……」
「……そう……。じゃあ今日の昼休み! 絶対情報……っ」

思わず立ち上がってみると、黒板にはワケの分からない記号。
クラスメイト達の視線。視線。視線。

森は、大爆笑。

「……あ、す……すいませ……」

俺は力なく席に座った。
くそ、くそが。
俺とした事がぁぁぁぁっ!

森は、ばっちぐーと親指を立てている。

それは、分かったという意味か?
何はともあれ、旭の抱えているものを全部知りたいのは、本当だしな。

「……どうすんのー? 昼休み、あたしが誘えばいいんだよね」
「ああー。よろしく」
「結構、両思いだったりするかもだよ」
「いや、それはない」
「どうして言い切れるの?」

そんなの、決まってるよ、うん。

あの日の涙を見てしまった。
あの日の声を聞いてしまった。

「なんとなく」

そう答えるしかなかった。


「……あ、あの!」

少しずつ、少しずつ。

やってきたのは、旭。

「あたしも、日向君って呼んでもいいですか……っ?」

距離は、縮まっていく。


**

gdgd、駄作、
申し訳ございません!