複雑・ファジー小説

Re: また明日. ( No.11 )
日時: 2012/03/01 21:36
名前: coco*. (ID: /u41yojS)

第九話【メール】


昼休み。
森は俺の指導どおりちゃんと旭を誘って屋上へ行った。
俺は、いつもど同じように一人食堂へ向かう。

廊下を歩いている間に、さっき起こった出来事を思い出した。


『あたしも、日向君って呼んでいいですか……っ?』
『え、』

すかさず、森が俺のそでを軽く引っ張る。

『い、いいけど』

裏返った俺の声。
笑顔の、旭。

『じゃあ、日向君で』


——……。

(もう、ワケわからんわ)

嬉しいのか、なんかひっかかってんのか。複雑な感情になった。

昼休み、終わり。
俺は教室に戻り、机に突っ伏していた。

予鈴が鳴り終わるか、終わらないかで、すぐに森が帰ってきたのが分かった。
扉の開け閉めの音で。

「ひーなーたー!」

顔を上げると、超涙目。

「どうしたんだよ、お前。泣いたのか?」
「旭ちゃんと、恋バナしたんだけど……ここではちょいいえない内容なんで、メールでやろう? アド教えて」

早く、早くとせかした。
ここでは言えない内容?

どんな内容なんだろう。

旭ってやっぱ、辛い過去を持ってるのかな?

俺は、授業なんか上の空で、(早く終われ)と願い続けた。
旭はそのまま何事もなかったかのように帰ってきて、俺も、森も、過去の話は話題に出さずにいた。


※ここからメールゾーンです。顔文字使いますが、ご了承ください*


家に帰ると、森から、受信メール一件。



--------------------------------------------------
from:森 藍子

やっほ〜(´Д`)!
届いてる?

--------------------------------------------------

--------------------------------------------------
from:渡辺 日向
to:森 藍子

届いてるよー
なんか情報つかめた?

--------------------------------------------------

思い返してみれば、初めて女子とメールしてる。
ていうか、メール機能なんてほとんど使わない。携帯もアラームがわりなだけ。

--------------------------------------------------
from:森 藍子

それがねー、
旭ちゃんが転校した二年間の間に、すごい事起こってた(Д;)
聞きたい?

--------------------------------------------------

--------------------------------------------------
from:渡辺 日向
to:森 藍子

そんなにすごいこと?
うん
聞きたい

--------------------------------------------------


俺は、彼氏作って浮気された、だとか。
きつい振られ方をした、だとか。

そんな甘い考えだったから。
旭の抱えてるものは、もっとすごい大きなものだったのに。

旭は、旭は——、


ちょうど夜中の十二時を過ぎる受信メールを、俺は開いてしまった。