複雑・ファジー小説

Re: また明日. ( No.25 )
日時: 2012/03/09 21:11
名前: coco*. (ID: /u41yojS)

第二十一話【告白】

「……えっ、日向……」

俺からは確実に旭の顔を確認できないが、絶対に旭は真っ赤になっている。
俺は旭を抱きしめる力を強めた。

「……」

旭は急におとなしくなり、抵抗しなくなった。

「……ありがとうございます、こんな話聞いてくださって」
「え?」
「つまらなかったでしょ。授業までサボらせてしまって」

旭は俺の腕の中で、話し出した。

「いや。別につまらなくもなかったよ」
「森さんには話したけど、日向に話さないっていうのはおかしいかなって思って」
「そう……」

俺は腕を放した。
旭の顔は涙で少しぬれていたけど、もう旭自身は笑顔だった。

「はげましてもらって、本当にありがとうございました」
「ううん、大丈夫だよ」
「じゃ、そろそろ授業が終わりますし、教室戻りましょうか」

たっとすばやく立つと、屋上のドアに手をかける。

「待って!!」
「あ、はい?」

綺麗な髪の毛を揺らして旭が振り向く。
ばか、俺!! 何引き止めてんだよ!!

それでも、口はとまらない。

「旭は、陽斗先輩がすきなんだよな?」

とまれ。
俺の口。

「? ……はい、まぁ」
「じゃあ……



      俺が旭を好きだったら、困る?」


ああ、もうとまっても意味がない。


**

「え……?」

なんで、とまってほしくない時にとまるんだよ、俺の口は。
とまるな、そこで雑談を始めろ!

「……」

ああああ、だめだ、なんだこの告白シーン。
漫画みたいな、あれだよ!
あれにあこがれてたのにーっ!

ぎゃあああああ!

俺の心の中は、戦争を始めていた。

「……い、んや。あの、だめなの分かってるから、答えはしないで、普通に接してクダサイ」
「あっ!! は、い……」

なんかよく分からない雰囲気で俺達は教室に向かった。


教室に向かう時、しゃべる気配は、二人とも全くなかった。