複雑・ファジー小説

Re: また明日. ( No.27 )
日時: 2012/04/03 21:49
名前: coco*. (ID: vGcQ1grn)

第二十三話【憂鬱な朝】


「は〜あ……」

今日は、いろんな事があったな。
というか、喧嘩の内容は何が原因なのか……?
女子って、よくわかんないな。

と、いう事は。
なんか聞いていると、森は俺の事を……?
いやいや、違うよな。
もし違くなくとも、そんな事自分で思うなんて、ただのうぬぼれ野郎だ。

「ま、いいや」

考えるのはやめにしよう。
そういう系の話、俺は試験の問題より考えるのが嫌いだ。

**

朝。

玄関へ出ると、みんな肩を並べて歩く。
俺だけ、一人。

そんなの、中学のころも高校に入っても当たり前。
いつもと同じように見える。

ただ、人とのコミュニケーションをとるのが嫌いなだけ。

人を観察していれば、それで満足だった。
隣にいる存在など、いらなかった。

「ひーなたっ」

俺の肩を、ぽん、と置く。
本人は置いているつもりだろう。だが、すごく痛い……。

振り返ると。

笑顔の森、と……真顔の旭。

いつもと、変わらない……のかな?
高校に入ってから、俺は一人でいることがなくなった。
それは、俺が望んだことじゃない。

けど、それなりには、楽しいのかな。
あんま、わかんないや。

「おはよっ」
「……はよ」
「おはようございます」

ふわ〜、とあくびをする。
朝は、好きじゃない。

**

「ねえ、日向。先生に怒られて、その後どした?」
「え……」

出たか、その話題。
パッ、と旭が顔を伏せたのが分かった。
森は相変わらず、いつもの笑顔で俺を見ている。

とりあえず、全否定。
真逆だ、真逆!!

「えー、と。戻ったら誰もいなかったから一人で帰った」

それを聞くと森は怪訝そうな顔をした。
あ。人がいた事バレてた、か……?

聞いてたとしても、俺内容わかんなかったし!

……と、言いたい。

その後、森は旭と関係ない話をして、俺は一人で歩くハメになった。
まあ、いいんだけど。

**

「日向……あの、私の勘だけど。あの日の教室にいたでしょう」

森がトイレ休憩の時間に行っている間に、旭は俺に話しかけた。
体をこっちに向けて、どこが寂しげな目をしていた。

「……なん、で」
「だから、私の勘です」

気づ、かれてた……?

「うん……ごめん。盗み聞きをするつもりはなかったけど」
「いえ。いいんです。すごかったでしょう。私と森さんのやり取り」

すごかったけど……何がなんだかよくわからなかったけどな。

「まあ……はあ……」
「あれは、私がいけないんですよ」

上目遣いで言う、旭。
それから、昨日の話を始めた。

——


「あ〜あ。かわいそうだね、日向。良かった、あたし授業さぼらなくって」
「あはは、ほんとですね」

——この時は、まだ普通だったんです。

「ねえ、……旭ちゃん。日向の事、好き?」
「はい?」

——いきなり、森さんが真剣に聞きだして……

「そりゃ、好きですよ。友達として……」
「告白、されたんでしょ? いいなあ」
「いいなあ、て……、どうゆう、事ですか?」

——その時点で、もう森さんの気持ちはわかってました。森さんが、今から何をするのかも、表情で分かりました。

「日向と、付き合わないの?」
「だって、私は……陽斗の事を裏切れない。どこにいても」

——ごめんなさい。それは私の本当の気持ちでした。

「あの人ね、中学校の頃、旭ちゃんに一目ぼれしたんだって」
「そ、なんですか」
「あたしは、世界で一番……日向が好きかな」

「私は、日向をそういう風には見れないので、Okはしないつもりです」

——本当の事だった。だからピシャリと言い放っちゃって。
——そしたら、急に森さんの顔色が変わって。

「あの人は、本気で旭ちゃんの事好きなのっ!」
「は……え……」
「陽斗君を裏切れない気持ちも分かるけど、……分かるけど、あたしはっ……日向を、幸せにしてあげた……」

「で……でも」
「あの人の気持ち、何でわかんないの?!」


——


「と、いう事でして……それと、返事です。ごめんなさい」

あっさりと、返事をされた。
でもまあ、当たり前だ。

「ああ」
「私よりいい女の人なんて、もっといますよ」

そうかな。
そうは思わない。

他の女に、隣にいてほしいとは、俺は多分この先思わない。
どんな事があろうと。

「あの、日向」
「ん」
「私は、ですね。おせっかいかもしれないけど、森さんと日向が一番合ってると思います」

そういった瞬間、森が俺の隣に座ってきた。

「ただいまっ! 次、自習だって。ラッキーじゃん?」
「……誰がっ!」

こんなやつとお似合いじゃ————ッッ!!

何にも知らない森ははてなまーく。

「? どうしたの?」
「……いや、別になんでもない」
「ふふっ」

まぁ いい。

俺は俺なりに、ゆっくり誰かと恋してけばいい。