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複雑・ファジー小説
- Re: 言霊〜短編集〜( ( No.46 )
- 日時: 2012/03/04 10:25
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
【コスモス】
ある日のことだった。
いつも通り、ポストを覗くと、ピンク色の封筒が入っていた。消印はない。誰かが、直接入れたものなのだろう。
見覚えがあるのに、どこで見たのか思い出せない封筒に、首を傾げながら中を見ると、便せんと、花が入っていた。便せんには、小さく細々とした字で、短く『頭』と、どこかの番地が書かれていた。入っていた花は、黄色い、雑草のような花。気味が悪かったけれど、とりあえずとっておくことにした。
次の日も、その次の日も入っていた。書かれているのは、体の部位とどこかの番地。今日でやっと、全身が完成したところだった。
僕は、好奇心に負けて、番地を巡ってみた。この手紙を入れた奴が、何がしたかったのかを探るために。
そして今、僕は、壮大なコスモス畑にいた。立ち尽くしていても仕方がない。一歩、踏み入ると、靴先になにか当たった。人の頭のように見えた。
『やっと来てくれたのね』
聞き覚えのある声がした。同時に、あの、黄色の花が何だったかを思い出した。
『弟切草と、コスモス。綺麗でしょ?どっちも、私の気持ちだよ』
おまえ、死んだんじゃ。
『こ』すもす by結城柵
※花言葉ネタです。
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