PR
複雑・ファジー小説
- Re: 言霊〜短編集〜( ( No.58 )
- 日時: 2012/03/11 05:29
- 名前: 結城柵 ◆ewkY4YXY66 (ID: khvYzXY.)
『やあ、みんな。僕は、シェフの一人。結城柵だよ。今回のコースを最後に、お暇をもらう予定なのさ。最後の料理、味わってくれよ?』
〜※〜※〜
【白】
冬がきた。
熊も蛙も冬眠をし、人間は寒さに凍える季節。冬がきた。
夏休みに高熱を出した俺は、リベンジと言わんばかりにナンパにきていた。
しかし、なかなかいい女の子がいない。なんかみんな厚着で太って見えるよ……。
そんなとき、ふわりと柔らかく、一人の少女が横切った。比喩なんかじゃない。本当に雪のような……。
「ねぇ、君、待ってよ!」
なんだかすごく慌てて、彼女の腕を掴む。
細くて白い腕は、驚くほど冷たかった。
「きみさ、今ひま?って……」
少女の顔をみて、僕はあんぐりと口を開けた。
高熱でうなされたとき、となりにいた、あの子だった。
「ほら。会えたでしょ?」
少女は、柔らかく笑った。
〜※〜※〜
『よいしょ、と。どうだったかな。美味しかった?やっぱり僕はシェフには向いてないみたいだね。さ、次のメニューが待ってるよ。またね』
PR