複雑・ファジー小説

STOP ( No.34 )
日時: 2012/04/07 15:09
名前: 美月ルミネ (ID: RNO2RYRs)

とある日の午後・・・。器と印に緊急集合がかかった。動ける者皆が、体育館に集う。たった、数十人。そして、医者達がゆっくりと、話し始めた。
「この前の襲撃事件の器の目撃情報が入った。時間は、今日の午前11時半前。場所は・・・此処、塀区機関の門の前だ。」

すると、辺りがざわつく。何が目的なのかも、分からない。けど、その器がうろついてる。目的が分からないんだから、誰が狙われてるかすら、分からない。
「朔・・・ここは、大丈夫だよね?」鈴が、隣に居た朔に問う。彼は無言だった。
「大丈夫さ。皆が居るし、あたし達も居るさ。」
「そーそー。もしも誰かが襲われそうになったら、俺がそいつを八つ裂きにしてやるさ」
そうだ。皆が居るから、大丈夫。皆が、守ってくれる。私は・・・何かできるかなぁ。鈴が、自分自身に問う。

「中に入ろうとしていた所、見回りの者が見つけ、逃げたそうだ。もしかしたら、進入してくるかもしれん。十分に注意してくれ。器は必ず印の傍に居ること。なるべく、門の近くには行かないこと。何か目的が掴めたら、必ず、機関の誰かに言うこと。以上!!」


数分後、月と流器は2人で部屋に居た。週に一回の食事の時間だ。
「先週忘れてたから、苦しかったろ?」「いや、別に。」
そう言って、流器の首筋に噛み付く。徐々に、月の呼吸が荒くなる。
「おい・・・大丈夫か。どうしたんだよ。」首筋を噛まれてるから、変に動くと危険だ。終わるまで、待つしかない。すると、自分の肩を掴んでる、手袋をした右手が震え始めてる。変だ・・・。すると、脳裏にあの頃の、あの事件が蘇る。

食事後、聞きたいことがある。
そう言って、朔の部屋へ流器と月が向かう。
「るー!つー!どしたの?」もちろん、鈴が居た。
「急ぎの用でね。いいかい?朔器。」朔は頷いて鈴に「聖の部屋に行っててくれないか」と言った。

「何だよ、流器。」壁に寄りかかって月が聞く。
「朔、月の・・・時間が来た。」・・・また、月の呼吸が少し荒くなる。
「呼吸の乱れ、か。月、手を見せろ。」
「別に何も変わってなんかねーよ!なんで見せなくちゃいけねーんだよ!!」
朔が手首を掴むが、月が必死に抗う。
「見せる事位できるだろう。」「っつ・・・・。」
元々、荒れていた手を見せたくなくて、ずっと手袋をしていた。
喰器が死に近づく事に勢いが増していく、腐食活動。

「月・・・。」両方の手袋を取った。指から手の甲にかけて、ほとんど腐食していってる。流器は・・・涙が抑えられなかったようだ。
「後、どの位だ。」
「ヤブ医者のヤロー・・・後1年持つか分からない、ってよ。」

    部屋には、流器の泣く声が、響いていた。


止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない止まらない