複雑・ファジー小説

Re: 学園の百不思議!〜コメ下さい&5話更新なう。〜 ( No.41 )
日時: 2012/09/17 16:55
名前: 亞扇 (ID: jHyiIImd)

第六話「予定調和の一ページ」


神威さんを見送り、私は学園内の廊下を歩いていた。
いつもなら…恐怖心もあるし。そもそもこんな時間は起きてない。
時計を見ると深夜1時だった。
そろそろ帰って寝ようか、と考えて茶道室に足を向ける。
あそこの押入れが私の寝室なのだ。…ドラ●もんかとかベタなツッコみは無しで。

「珍しいな。お前がこんな時間まで起きているのは。」
後から声をかけられ、ゆっくりと振り向く。
「黒……藤…さん。」
「そうだ。…久しぶりだな。」
黒藤さん。私がここに来て初めて知り合った人。……私が序列に入れたのもこの人のお蔭かもしれない。
「また、異世界の方に行っていたんですか?」
「ああ。最近は暇でな。…浮かない表情じゃな。何かあったか?」
「いえ……………ううん。実は…」
私は今日あったことを話した。事実を、全て。

「成程…神威も相変わらずだな。」
「!?神威さんのコト、知ってるんですか?」
「ま、多少な。…楽しい話のお礼じゃ。一つ教えてやろう。」


           「このままだと…神威は………死ぬぞ。」




            
「…………ぇ?」
呆然として声が出ない。…あまりの唐突さに、暫し言葉を失った。
「じゃ、ワシは寝る!」
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!いきなり何なんですか!…それに、神威さんが死ぬって…」
「アイツに干渉するな。ということだ。」
じろり、と黒い目が私を真っ直ぐに見る。…私も、目を離しちゃいけない気がして…じっと見つめ返した。

「アイツは人にも妖怪にも染まらない。妖怪になりかけた…人という微妙なラインを保ってる。…お前とは違うのじゃよ。竹子。」
「人だが妖怪だが何だか知りません!…けど、神威さんは神威さんだと考えています!」
「珍しいな。お前がここまで誰かを信用するのは。」
「だって、皆いい人ですから………………」

その先は言葉にならなかったと思う。自分でも何言ってるか分からない。特に皆の何も知らないくせに。今まで出会ってきた人のことを思い出していた。

不意に黒藤さんが言い放つ。
「…ワシはどうなっても知らんぞ。お前たちに助言するつもりは無いからな。」
そのまま廊下の奥へと消えていった。
取り敢えず、目元の涙を拭いて茶道室へ向かう。
今日の事はすべて忘れようと思った。











「やれやれ。しばらく帰らないうちに全員立派になったものじゃ。」
屋上のフェンスの上。その上に腰かけながら黒藤は独り言を呟く。
お気に入りの紅茶を飲み、一息つく。そして彼なりの言葉を言った。
それは…この物語の初めの言葉でもあり、終わりの言葉でもあったのかもしれない。










「ワシは紅茶でも飲みながら、ゆっっっくり「観」させてもらうわ。…この運命の物語を。」