複雑・ファジー小説
- Re: 学園の百不思議!「Up to when?」〜10話更新なう〜 ( No.60 )
- 日時: 2012/09/28 17:58
- 名前: 亞扇 (ID: jHyiIImd)
第十一話「なうとか言ってみたいなう。」
校長室の前に着き、まず私は深呼吸をした。
入った瞬間に殺されちゃったらどうしよう…いや、でも人間は(妖怪だけど)心から謝ればどんな人にでも通じるはずだ!
よし、開けるよ。………せぇーの!!
「神威さん、この前はすいませんでしぶっ!?」
目の前が真っ白になる。頭の上にも何か粉のようなものが沢山のっていた。
頭の上のものを取って見ると、それは黒板消しだった。
…ああ、よくあるじゃない。ドアを開けたら黒板消しが挟んであるやつ。
「あれ、竹子さん。何してるの?」
「それはこっちのセリフです…何ですかこの黒板消しは!」
一歩踏み出すと、墨汁のたまったバケツに足が嵌った。…じゃぼん。と。
「それは対策だよ。前みたいに序列狙いが来たら嫌だしね。」
クスクス笑いながら頭に載っていた黒板消しをはたく神威さん。
……目の前に黒板消し以上に白くなった人がいるんだからまずはそっちを心配しろ。
私の心を読んだかのように、またクスクスと笑う神威さん。
「君は本当に妖怪か?…普通なら気が付くよ、その罠。」
「気が付く罠を仕掛けないで下さい!それに大きくなったら強いんですよ!!………ぁ。」
「ん?」
小首をかしげる神威さん。…またやっちゃったぁぁぁぁぁぁああ!私は馬鹿だ!
「どういうこと?」
「…座敷藁子族は…位が低そうに見えて、かなり上の位の妖怪でした。
ですので、他の妖怪達の操り人形として過ごす事が多かった…だから…力を封印し、自分達は弱いから、使えないと示したのです…
その封印の代償として、外見の年齢をとられ、ふつうより老けたり、幼くなりました…」
一旦私はそこで切り、息を吐いた。
「このことは絶対誰にも話してはいけない…そう伝えられてきました」
「でも俺に話してしまった…そういうことか?」
「はい…タブーを犯してしまいました…」
「その禁忌を犯した君は、これからどうなるんだ?」
「多分、殺されます。」
私はため息を吐き、少し俯いた。
「いいよ、君の一族が君を排除しに来ても覆せない運命…俺が食べることにするぜ。」
神威さんは冗談っぽく、クスクス笑い私を見た。
「って食べるのは止めてくださいね!?」
私はワタワタしながら神威さんを見る。冗談だよ、と言いながらも目は笑っていない。
……この一言、そんなに言いたくないんだけど…でも仕方ないか。
少し恥ずかしがりながらも私は言った。
「そんな事ではなくて…子孫が残せなくなるんです、最近人口減りぎみなのに……はぁ〜〜〜」
「へぇ!?それは大変だ。」
「神威さんはいいですよねぇ、なんか不老不死そう…」
「クスクス、そう見えるか?…まあ、一応そうなんだけどな。」
神威さんは、一頻りクスクス笑った後、思いついたように手を叩いた。
「そうだ、竹子さん。子孫を残す方法を思いついたぜ。」
「え?」
神威さんは躊躇わずにバーンと言い放った。
「昨日の子供…祐太君だっけ?と結婚してバシバシ子供作ればいい。座敷童と人間だし。何とかなるだろ。」
「〜〜っ!?な、何とかなりません!何考えてるんですか神威さん!!」
「え?」
キョトンと少し驚いたような顔をして私を見る神威さん。
…この人、時々頭いいのか悪いのか分からなくなるなぁ…………
少し頭が痛くなった私だった。