複雑・ファジー小説

Re: 学園の百不思議!「Up to when?」〜18話更新〜 ( No.93 )
日時: 2012/12/08 11:57
名前: 亞扇 (ID: jHyiIImd)

第十九話「わっちゃうぇい((!?」


二人の足元に倒れた仲間たちを見て鬼達は呆然としていた。
強い。知っていたが強い…だが足止めしなければいけないのだ。信頼する自分の上司のために、何としてでも少しでも時間を稼ぐ。
そんなことを知っているとでも言いたげに左京は溜め息を吐いた。
「僕、お前と違って好戦的じゃ無いんだけど。がっかり。」
「俺は別の意味でがっかりだ。共闘なんてたまったもんじゃない。」
少しイラッとしたように顔を顰め、左京は舌打ちをする。そして自身の武器の一つである弓矢を取り出した。
それを見て神威が何か言いたげに左京を睨むが時間の無駄だと思い、右手についている制御棒を構える。
「神代の記憶!」
同時に技名を唱えると左京は弓を放った。
すると、弓は幾つもに分かれそれぞれの弓が確実に相手の急所を射る。
走馬灯を見る間もなく相手は永遠の闇に沈んだ。あとは地獄の閻魔に裁かれるだけだろう。
その閻魔は、今ここで大量虐殺を行っているのだが。
「一つ気になっていたんだけど鬼って死んだらどうなるの?」
「俺が裁判にかけて獄卒として使えるかどうか判断する。駄目だったら……」
「その話、血生臭くなる?」
「……………。」
「よね。」
左京は自分から話を振った癖に少し苦笑すると相手に続けて弓を射る。
しかし全て避けられてしまい、逆に喧嘩を生む種となった。
「おいおいやる気あるのか聖さん。いや、邪さん。」
「君は僕の戦い方を知らなかったっけ?彼岸に送るぞ。」
「それは俺の役目だぜ。」
クスクスと神威は見下した笑みを送ると左京の隣にいた男に制御棒で顔面を殴りつける。
神威の背後に回ろうとした男には左京が脇腹に物凄い蹴りを叩き込んだ。
更に五人ほど束で襲ってきた奴らには先ほど左京が放った弓から鎖が伸びてきて相手を縛りつけた。
左京はわざと弓を外していた。…これが彼の戦い方だった。
「仙天思念!!」
何気に躊躇いなく弓を放ち、相手を一瞬で闇に葬る。
「あと80人くらいか?」
「じゃあ2で割って40人だね。僕と君で40人ずつ狩っていこう。」
「ヤダね。俺はお前よりも手柄取るんだからよ。」
再び嫌悪丸出しの顔になった左京だが、こちらも神威より手柄を取ろうと考えたのだろうか。
さっさと目の前に集中し始めた。
しかし神威は数歩行ったところで立ち止まり、左京の元へ戻ってきた。
「左京ォ、もう少し楽しみたいところだけど竹子さん達が待ってる。一気に片づけるから協力しろ。」
「お断りします」
「…………チッ、仕方がないから40人一気に片付けるよ。」
「じゃあいいよ。」
左京はニコリと笑うと地面に矢を放つ。すると地震が起こり、神威の立っている場所だけ大きく上に伸びた。
必然と全員を見下す形になる神威が上から制御棒を構えた。
何をしようとしているのか悟ったのか、アワアワとし始めるがもう手遅れだった。
神威がニヤリと笑い、溜め込んでいた核のパワーを一気に放射した。
あっと言う間にその場にいた40人余りが消し炭になる。残りはいつの間にか左京が片付けていた。
「これで全部かな?」
「ああ、殺気は感じないな…もう大丈夫だな。」

「結構歩いたなぁ。」
私と松咲と哉人君は、ついさっきまで一緒だったのだが3本に道が分かれていたため、手分けして探すことにしていた。
ちなみに私は一番右の道だよ!
それにしても………
「何で脱走なんかしたんだろう…」
哉人君曰く、獄卒は収入も安定していて殆どリストラされる確率は0だと言っていた。
獄卒は亡者を拷問するから精神力が高くなきゃいけないって聞いたけど…
もしかして精神が不安定になっちゃったのかも。
でもそうなったら牢獄に入れられる意味が分からない。
神威さんは何か聞いているのかな?
「…ん?」
あの女の人は誰だろう。…何か妙に急いでいる様子だけど…………
あっ、気付かれた!ってなんで逃げるの!?
まさか………まさか!?