複雑・ファジー小説
- Re: 学園の百不思議!「Up to when?」〜19話更新〜 ( No.96 )
- 日時: 2012/12/15 21:03
- 名前: 亞扇 (ID: jHyiIImd)
第二十話「定期テスト合計203点だったwwww」
取り敢えずその女の人が脱獄した人だと思い、私は追い掛けた。
待て!とか言っても待たないから無意味なことは私は言いませんよ〜。…何て思うけど。
私はこの姿じゃ足遅いから言いますよ。
「待ってくださいぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
これで待ったら苦労はしないー!
「ッ!」
……あれ、止まった。
その間に私はどんどん女の人と距離を詰める。本当に待ってくれた!
「ッうぁ!」
「あああー!!!」
どしゃーんと見事に木から落ちる女の人。
何が何だか理解できないけど、結果オーライだ!てか大丈夫ですか!?
「あ、あれ?貴方…」
私は女の人の綺麗な足に目を向けると、踵と踝の間くらいに酷い怪我を見つけた。
とにかく出血が酷かったので私は常に持っている包帯と消毒液を取り出す。
成程、これで木から落ちたりしたのか。
確かに素直に止まる人なんて居ませんもんねぇ……。
「しっかりしてください!今、治療するので少し我慢してくださいね。」
「……………………………。」
女の人は無言のままそっぽを向いてしまう。
…このままだと沈黙が続きそうだ。私が何か会話を作らなければ!
「え、ええと。……罪鬼 棘さん………です、よね?」
「っ!お前は敵か!!」
「いえいえいえいえいえいえ!違いますよ!」
マズイ、誤解をさせてしまったようだ。
「あー…えと、そのですね……何で脱獄なんてしたんですか?」
何故お前に言う必要がある、と言うような目で私を睨んできたのでアワアワしながら手を振る。
「言いにくいなら別にそんな…!」
「そんなこと誰も言っていないだろ。」
「で……デスヨネー!」
思わずカタコトになってしまった私を冷静な目で睨みつけながら棘さんはゆっくりと口を開く。
「…初めは私は唯の獄卒だったんだ。」
「あ、自分から話すんだ!?」
「独り立ちしてからは獄卒として働くと決めていた。…日々努力を重ねていったらいつの間にか一部の獄卒をまとめるリーダーになっていたんだ。」
す、すげぇ…
「でも、私はふと思ったんだ。罪人の魂を永劫に苦しめ続けることに意味はあるのかと!そして私は反乱を起こすことにした。」
「うーんと…魂を苦しめさせて罪を償うんじゃないですか?そうすれば」
「それで反省するような奴らは少なかったさ。」
「そんな…それは幾ら拷問しても意味がないですね。」
棘さんは深いため息を吐くと続けた。
「でもね、ある時そんな考えが閻魔の野郎にバレた。…私が反発するって聞いたとき、アイツはブチギレたよ。」
「…確かに神威さん、自分に逆らう人に容赦ないですもんね………。」
「それで私は牢に入れられたんだ。…まあそこはアイツの意思じゃないらしいけど。」
再度、ため息を吐くと私に向き直った。
「助かった、お前は味方じゃないらしいが治療をしてくれたのは感謝する。」
「い、いえいえいえいえいえそんな!…でも程々にして下さいね。」
じゃあな。と言って棘さんが走ろうとした目の前に大木が生えてきた。
何!?え、何?棘さんは何かを取り出そうと腰に手を伸ばした…………が。
「竹子!大丈夫か!?」
松咲が後ろから棘さんを押さえつけ、地面に組み伏してしまった!
「ちょっと松咲!?何してんのよ!」
「竹子ちゃん、この人例の脱獄者だよ!!」
後から哉人君が走ってくる。…そっか、さっきの大木は哉人君の。
じたばたと暴れる棘さんを見ながら哉人君は大木を引っ込める。そしてぐるぐると縄で縛りつけてしまった。
「待ってよ二人とも!棘さんは悪い人じゃないの!!」
「…そうか。おい、お前。竹に何吹きこんだ。」
松咲が棘さんの髪の毛を引っ張り、乱暴しようとしたが私が食い止めた。
「竹子ちゃん、この人は沢山の人を殺したんだよ?幾ら目的のためとはいえ、やり過ぎでしょ。」
「それは………」
「早く行こうよ、左京様と神威様が待ってるよ。」
「そうだな。」
「待って、待ってってば!!棘さんにはちゃんと理由が………」
「いいよ、そのまま連れていけ。」
勢いよく後ろを振り返る。何時の間にか後ろに立っていた神威さんが言い放った。
隣には左京さんが呆れたように腰に手を当てて立っていた。
「いつから居たのかしら、閻魔様?」
「大木が生えてきた辺りかな。少し驚いたぜ。」
神威さんはクスクスと笑う。棘さんは盛大に舌打ちをした。
「…………あー、あのさ。」
ポリポリと頬を掻きながら左京さんが口を開く。
「竹子ちゃんはこの子を殺されたくないんでしょ?何があったのかは知らないけどさ。この子にもう一度チャンスを上げたら?」
「チャンス?」
松咲が首をかしげる。
「そ。復唱ありがとう。竹子ちゃんが松咲くんに監視されてるみたいにさ、この子も監視を付けて自由にすればいい。」
「監視を付けて自由…何処にどうするんですか?」
「監視するのは学園序列のみんな。そして神威がいる花映学園に入れればいいんだよ。序列も余ってるだろ?」
「左京さん……。」
左京さんは私を見てにこりと笑い、ウインクをする。
「じゃあこれで神威の意見を聞いていたらキリがないから解散!」
左京さんが手を叩くと私の意識は飛んでしまった。