複雑・ファジー小説

Re: 龍の宅急便。 -Bring Heart to Lover- ( No.21 )
日時: 2012/04/10 18:37
名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: OHq3ryuj)
参照: いっそ泣き出してしまいたい。でも、理性が鎌首をもたげる。

 僕は心の中で思わず頭を抱えながら、何とかかんとか必死で言うべき言葉を頭の中の乏しいボキャブラリーから探り出して、それを型にはめ込んで、それでもあたふたあたふたしながら王様に言い返す。
 「えっと、あの、お昼に連れて来ることは出来ません。王宮に近いところの人たちは、その、龍に理解の無い人も意外と多くて、ヘタに連れて行くと僕もろとも銃で撃たれたりするし……それに、朝郵便配達のときにかなり長距離を飛ばしてるので、お昼ごろは疲れ果ててるんです」
 うぅう、家臣の人たちの目が痛い。龍に理解がないのはホントのことでしょーが。
 「それでは仕方あるまいか……では、何処か別のところから王宮宛に手紙を出せば来るかね」
 「えーっと……すみません。僕の配達範囲は王宮の方じゃなくて、海側の方の町で、王宮の周りの配達をやっているのはそう、あの、もっと大手の人たちです。それに、王宮の辺りは山からの向かい風がすごく強くて、子供の龍じゃ僕を載せて飛べません」
 忌憚のない僕の返答に王様は苦笑。家臣側近の面々は相変わらず苦い顔。
 王様は「王妃がとても逢いたがっているのだがなぁ」と少し溜息を交えて独りごち、そしてハッとしたようにぽんと手を打った。何なに何よ、なんて女々しくなる間もなく、王様のダンディズムあふれるお顔がずずいっと近寄ってくる。ああああああああ、本当に心臓がどっか飛んでいきそう。助けて優しい誰かさん!
 閑話休題っ!