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複雑・ファジー小説
- Re: 龍の宅急便。 -Bring Heart to Lover- ( No.26 )
- 日時: 2012/04/18 00:09
- 名前: SHAKUSYA ◆fnwGhcGHos (ID: OHq3ryuj)
- 参照: あとちょっと、あとちょっとで一章が終わる!
暗い沈黙が漂う中で、僕はそっと人波を掻き分けてちょっと遠巻きに見ていた王妃様のところに行って、あら、と上品なお声を挙げて僕を見た王妃様に向かって、思い切って声を挙げる。
さっきまでの暗い話とは、まあ全然関係ない話だけど、さ。僕自身はあんまり暗い話が好きじゃないから。
「あの、龍を見に来ても僕は全然構わないんですが……子どもの龍は結構顔見知りが激しいし怯えがちなので、背後からは絶対に近づかないで下さいね。飛びかかられて押し倒される時がありますから。一応僕も一緒にはいますけど、押さえきれる自信はそんなにないので……」
「もちろん、分かっています。龍と相対したときの礼儀作法に関しては、図書館に研究文献がありますからね。子の龍の目の前で両手を広げるのは駄目ですし、むやみに撫でるのも失礼なのでしょう?」
知ってたんですか、と素直に驚く僕に、うふふ、と王妃様はまたまた上品に笑ってみせる。
それにしても、僕が図書館で借りて読んだ本の中の王様とは印象が全然違う。何かこう、色んな意味で庶民気質あふれるというか、野生に満ちてるというか……喜んでクワだのスキだのを握りたがりそうと言うのか。
それに王妃様も王妃様で、容姿物腰は貴族らしく上品だけど、知的好奇心旺盛でしかも自分で調べちゃう所が何とも庶民くさい。このままお二人に庶民の服を着せて町に出しても、違和感なく収まってしまいそうだ。
頭がまたくらくらとして、僕は思わず頭を押さえた。
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