複雑・ファジー小説

Re: 水車の廻る刹那に【千年桜 パート2更新!】 ( No.52 )
日時: 2012/04/26 18:51
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)



「へえ、学校でそんなことが起こっているんだ」


 パクパク、と苺を食べながら蛍は言った。


「全く知らなかったなあ」
「学校に行ってないからでしょ。たまには来てよ」
「うーん、検討してみます」


 ヒナが唇を尖らせて言うと、蛍は苦笑いして言った。
 そう言えば、どうして蛍は登校拒否をしているんだろう。
 だって、教師は皆良い人ばっかりだし、蛍のファンはかなり多い。なのに、何で・・・・・・?
 まあ、本人が言いたくなければ、聞かないけど。


「残念だけど、思い浮かばないなあ。
 ・・・・・・あ」
「何か心当たりがあるの!?」


 食いつくように、ガバ、とヒナが勢い良く立った。


「んや・・・・・・・ヤマちゃん、確かわらべ歌も呪歌だったね」
「あー・・・・・・そう言えば」
「あ!」


 ヒナが声を上げた。


「わらべ歌がどうしたんだ?」


 俺と勇気は何だか判らないため、聞き返す。
 呪歌に詳しいヒナと蛍が説明してくれた。


「呪歌っていうのは、その通り「呪い」や「魔法」の意味合いがあるの」
「「うんうん」」
「たとえば、有名なかごめかごめの歌は」


 一呼吸置いて、蛍が歌いだした。













 かごめかごめ
 籠の中の鳥は 何時何時出逢う
 夜明けの晩に
 鶴と亀がすべった
 後ろの正面 だあれ?




 ・・・・・・まあ、歌わなくても、小さい頃他の子たちが遊んでいたのを聞いて、覚えていたが。
 まず、一つ目の発見。


「蛍、歌うまい・・・・・・」


 思わず、ポツリと呟いた。


「え? そう?」


 さほど自分の歌声に意識していないのか、キョトンと蛍が言う。そして、少し頬を染めて笑った。





 何、この子。
 かわいい。



「ほらほらお二人さん、ラブコメはいいから」


 ヒナがニヤニヤしながら言ったので、二人してヒナの頭を叩いた。
 俺は気まずさを振り払う為、ゴホン、と咳払いを一つして言った。


「でも、俺が聞いた奴とはちょっと違うなあ」
「え?」
「俺が聞いたのは、
『 かごめかごめ
  加護の中の鳥居は 何時何時出逢う
  夜明けの番人
  つるっと壁がすべった
  後ろの少年 だあれ?』
 ・・・・・・だった」
「初めて聞いた」
「私も。そんな歌詞があるんだね」


 二人とも、ちょっと驚いた顔をしていた。
 俺よりも色々と詳しい二人を驚かせたのがちょっと嬉しかった。
 ただ、勇気だけは、


「地域によって、違うんだろ」


 ・・・・・・と、アッサリと切り捨てた。
ちょっと悲しかったりする。


「で? 何で、わらべ歌が呪歌なんだ?」


 勇気が、話の方向修正をしてくれた。


「『かごめかごめ』は、竹を薄く切ったのを編んだ籠目、もしくは六芒星の形をした『かごめ』から取られていると言われているの。どちらも、陰陽師が使用したものだわ。籠目には結界の力を持つと言われるし、陰陽師にとって星はかかせないものだから。『籠女』とも言われていて、妊婦さんを示されることもあるの。
『籠の中の鳥は』は、鶏がその中にいるということ。他にも、籠女の中にいる、胎児のことだったりね。
『何時何時出逢う』は、『何時になったら出てくるの?』や、『何時になったら出逢えるの?』と、問いかけている様子ね。
『夜明けの晩に』は、夜明け、つまり朝の始まり。晩、つまり夕暮れ。だから、真夜中のことを示されているの。
『鶴と亀がすべった』は、その通り縁起の良いものがすべることで吉兆、もしくは凶兆とも言われるわ。
『後ろの正面だあれ?』は、まあ、後ろは誰? ということだね」
「まあ、意味は諸説あって、正しいとは言えないんだけどね。それに、『鶴と亀』は明治時代に取り付けられたみたいだから。けれど、私もよく使うから、呪歌であることは確かだね」


 ヒナの説明に、蛍が補足する。