複雑・ファジー小説
- Re: 水車の廻る刹那に【皐月編始動!】 ( No.70 )
- 日時: 2012/05/16 16:20
- 名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)
第四話 龍と人の子
俺は、坂田天。
母親が貴船の龍神だった為、俺自身も龍の血を引いている、半妖(いや、半神かな?)だ。
両親は小さい頃に亡くなっており、施設に預けられていたが、一ヶ月ほど前に父親の親戚に預けられた。
この市は、『神崎』という名の市で、そこには俺みたいな妖怪や、普通の人間には持っていない、所謂『異能力』を持つ人々が住む市だった。
で、なんやかんやで言霊師兼巫女の蛍とヤマトタケルノミコトことヤマちゃん、そして、二週間前に、なんやかんやで鉢合わせになった敵の影縫零と出会い、なんやかんやでこの国の慈母神、天照大御神に身体を乗り移りされたという。
ちなみに、天照大御神は、なんやかんやで影縫に力を奪われ、なんやかんやで今俺の身体の中で休養中だ。
まあ、詳しいことは『卯月編』を見てもらって、今俺は、とんでもなく身体が不調だった。
風邪を引いてるわけではない。身体がだるく、何かするのも憂鬱なことって、皆さんにもあるだろう。毎年なる為、五月病かなあ、と俺は思っているが、実はこの村に来ていつも以上にだるくなっている。
今日はかなり酷く、学校を休む羽目になった。
布団の中でぐっすり眠って、起きると、丁度ふすまが開いた。
「やっほ。柏餅持ってきたったい」
やって来たこのおさげの少女の名は、乙音蛍(オトネホタル)。巫女服を着ているため、一見普通の巫女さんに見えるが、実は高天原に選ばれた言葉を操る『言霊師』(兼巫女)という職業をしている。
しかも、巫女として務めている神社には、ヤマトタケルノミコトという、古事記や日本書紀にも出てくる名のある神と一緒に暮らしていたりするのであった(しかし、残念なことに、不登校少女なのであった)。
…ちなみに、蛍の足元であくびをしている白い犬が、ヤマトタケルノミコト、通称ヤマちゃんである。勿論、仮の姿だが、この時ばかりは神としての威厳をまるで感じない。
「ありがとう、蛍」
「いいとよ。それに、明日こどもの日ったい。張り切りすぎて、順子さん沢山作ったとよ」
「ああそっか、こどもの日……え」
思わず聞き返してしまった。
…明日、こどもの日。
ということは、俺は明日……。
「あ、そうそう。今日は名探●コナ●の工●新●の誕生日らしいったい」
そんな、オタク情報はともかく。
「…そういや、俺さ」
「うん?」と聞き返す蛍。
「……明日誕生日だった」
「……え」
「ええええええええええええええええええええぇぇええええええええぇぇえ!?」
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