複雑・ファジー小説

Re: 水車の廻る刹那に【龍と人の子パート4更新(←蛍が変態気味】 ( No.76 )
日時: 2012/05/19 19:18
名前: 火矢 八重 ◆USIWdhRmqk (ID: kGzKtlhP)

                            ◆


 …かれこれ三時間は駆け回ったったい。
 しかし、天の無欲のガードは強かった!!!




「…こんだけ回って、何も気が惹くようなものが無いなんて……」




 落ち込みながら、ストローでジンジャーエールのジュースを飲む。
 ただいま、ジャ●コの食堂でマクド●ルドのハンバーガーを食べてるったい。





「……なあ、アンタ」
「何?」
「何で、俺の為にそこまでしてくれるんだ……?
 色々変な奴だけど、怪しい人じゃないみたいだし……」
「ちなみに変な奴も取り消して欲しいったい……。
 ちなみに、その問いにはノーコメントったい」
「どうして?」
「どうしてもったい」





 ブー、と頬を膨らませて拗ねる天。
 …可愛ぇえなあ。




 ……でも、いくらなんでもいえない。
 未来の君は、私にとって、とっても大切な友人、だなんて。
 未来が変わる可能性大ッッッッ!!


 けれど、彼も何も教えない私に腹が立ったらしい。まあ、そりゃそうだな、と私も想うったい。だって、いきなり現れていきなり引っ張り出したから。でもいえない。






「少しぐらい教えてくれたってッ……!」







 そう言って天が立ち上がったときったい。






 ガクン!






「うっ……」
「天!?」





 いきなり、天が倒れたと。

 まるで、お腹が痛くなったように、苦しんでいるったい。
 食堂は少なかったとはいえ、天が倒れたときに大きな音がしたから、周りの人も驚いてこっちに視線を向ける。





「大丈夫、天!?」










 私は焦って、天の方に手を伸ばした。








 その時だったと。バチン!! と、天に手を叩かれたのは。


















「っ……!?」




 ジンジンとあっという間に手の甲が腫れる。
 いや、それはどーでも良かったったい。

 痛かったったい。拒否されたのが、悲しかったったい。
 ——でも、天が涙目で、本当に苦しそうな顔で、こう言ったのがもっと悲しかったったい。







「大丈夫だからッ……!!俺に、触れるなッ……!!」











 とてもとても悲しかった。





 ——……どうしてあーたは、何時も。
 何時も何時も何時も、苦しいはずなのに。
 どうして、人の前では平気な顔をして、人を遠ざけると?










 ……あっちの天もそうだったったい。
 昨日だって、とっても苦しそうだったのに、「大丈夫」だって言って、人の忠告に耳を貸さないで、無理して学校に行って。
 でも、お昼頃に倒れて、帰ってきた。
 その時、あーたは朝よりももっと苦しい顔をしていたのに。笑顔で、こう言った。——「大丈夫だよ」と。








 ……誕生日のことだってそう。言ってくれれば、沢山沢山天の為に、何かしてやりたかったのに。
 なのに、プレゼントの事すら、「蛍にたかりたくない」と言って……。






























 どうして、私を頼ってくれないと?
 どうして、苦しいなら「苦しい」って言えないと?






 そんなの……そんなの。






















「——嫌ったい」
「……え……」




 私は、彼の言葉を頭っから無視することにしたったい。
 ちっちゃい彼を背負って、私は休憩所に移動した。


「ちょ、オイ!! 離れろって言っただろ!?」


 天が騒ぐけど、無視じゃ無視!!!





















「お願いだ! 降ろしてくれ!!
 俺は、人に迷惑をかけたくないんだ!!」















 ——…けれど、この言葉は無視することは出来なかったったい。

 彼の言葉は、本当にそう想っているみたいだから。











 彼は異形だから。だから、ひときわ目立っていたと聞いてるったい。
 龍神の血を引いているんだから、さぞ周りの妖に命を狙われていただろう。
だから。周りの人は、何か怖いことが合ったら、全部彼に押し付けて。
 周りに流されて自分を見失って、全部の不幸は自分だと思いこんで————。



























「…ったく、生意気なガキじゃのう!!」










 だから、放っておけなかったったい。


















「子供なら、素直に年輩者を頼りなさい!」






 無視をする事なんて、出来なかったったい。



 私は、天が居てくれて嬉しかったから。
 天が居なければ、助からなかったこと、もう何回もあるから。




 迷惑なんて、そんな事無いったい。
 だって私は、彼を背に乗せて、こんなにも嬉しい。
 彼と話すことが、本当に嬉しい。





















 あの時。

 天と逢えて、本当に私は嬉しかったから——————……。