複雑・ファジー小説
- Re: 桔梗ちゃんの不思議な日常。 ( No.10 )
- 日時: 2012/10/21 21:47
- 名前: 藍永智子 −アイナガサトコ− (ID: w/bUrDOd)
またまたありがとうございます!
それではお言葉に甘えて、八重さんと呼ばせて頂きますm(- -)m
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——キーンゴーンガーンコーン
少し錆びている鐘の音が校舎に響き渡る。
数人で集まっていた人達が一斉に教室に向かい始め、廊下に人がわっと溢れた。
「さ、ききょ行こ。早くしなきゃ遅れちゃうにょ」
再び桔梗が後ろを向いたときには、さっきの様子が嘘だったかのように、あやめはいつもの調子に戻っていた。
少し戸惑いながらも返事をする桔梗。
「う、うん? ……あのさ」
「……何?」
真っ直ぐに見据えられ、何も言えなくなってしまった。嘘も偽りも戸惑いもない、ただ、真っ直ぐな瞳——真実とは、自分の疑念を打ち消す最良のものだが、時として、恐ろしいものにも変わる。
「……何でもない」
それで良い、というようにあやめはにこっと微笑み、そのまま、すっと流れるような優雅な動きで桔梗の手を取った。
「うん。じゃ行こっか」
うん、と頷き返し、教室を目指して廊下を思いっきり走った。
案の定、二人が教室に着いた時、ホームルームは始まっており、クラスメイトに笑われた。けれど「あやめと一緒」——そう思うと、全然恥ずかしくなんてなかったし、それどころか、良い経験が出来たと思った程だった。
午前中は奴等に見つかることもなく安全に過ごせたのだが、午後になり、授業が始まってちょっと経った時——奴に見つかってしまった。
窓の外をなんとなく眺めていたところ、景色の中に、おかしなものが混じっているのに気が付いた。慌てて視線を逸らしたのだが、もう一度、こっそりと見てみると、奴は「見つけた」という顔をしてこちらをじっと見つめ、その後、ちょっとずつ移動し始めた。
(うわ、どーしようかな。昨日もお腹痛いって言って、授業抜けてるし……)
迷った末に退治しに行くことを決めた。というか、もとより行かなければ桔梗の命は無い。
問題は、言い訳の仕方だ。
腹痛は昨日使ったし、一昨日は頭痛、その前は吐き気……。そして不思議なことに、毎日授業を抜けているというのに、家に連絡は一度もいっていない。
(それなら、同じことでも……うん、いける!)
後ろからあやめが不思議な視線で見ていたけど、気づかないふりをして、桔梗は席を立った。