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複雑・ファジー小説
- Re: 桔梗ちゃんの不思議な日常。【オリキャラ募集中!】 ( No.11 )
- 日時: 2012/10/21 21:48
- 名前: 藍永智子 −アイナガサトコ− (ID: w/bUrDOd)
「先生、あの……」
「彩蓮か、どうした?」
みんなの視線が一斉に桔梗に注がれる。
「……昨日もだったんですけど、また腹痛が……」
授業の途中でこう言いだすのは、もう、かれこれ五十回は超えているだろう。
さすがに先生も、怪しいと疑い始めてもおかしくはない……のだが。
「最近、具合悪そうだもんな。一人で保健室、行けるか?」
……世の中には、正真正銘の馬鹿がいると桔梗は学習した。
すみません、と小声で告げ、みんなの視線を背に感じながら教室の扉を閉じた。
今の授業は移動教室だったため、桔梗が主に武器として使っている日本刀(竹刀に偽装されている)はクラスに取りにいかなければならない。
(急がなきゃ……)
じわじわと焦りを感じながら急いで階段を駆け上がっていた時、生徒の悲鳴とともに大きな音がして、校舎が左右に大きく揺れた。
「まさか……!」
脳裏に浮かんでくる最悪のケースを打ち消すように、乱暴に刀をつかみ、恐る恐る窓の外を覗いてみる。
まず、一番最初に目についたのは、校舎に体当たりをしている巨大な妖怪だった。猪———それも、通常のサイズとは比べ物になんかならないくらい、途方もない大きさの猪だ。さっきまで桔梗がいた教室に、何度も体当たりをしている。
——皆の前で奴等と闘ったらどうなるのか
そんな考えが頭をよぎる。しかし、自分のせいで誰かがけがをしたらどうしよう、という思いが頭のなかを支配した。
桔梗は窓から外に飛び出し、迷いなんて微塵も考えさせない動きで、奴を目指して駆けだした。
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