複雑・ファジー小説

Re: 桔梗ちゃんの不思議な日常。 ( No.35 )
日時: 2012/10/21 21:55
名前: 藍永智子 (ID: w/bUrDOd)

 彼が緊張した面持ちで一同にそう告げると、辺りの空気は一瞬にし、痛い程に、張りつめた。
 どれくらい時間がたった時だろう——意を決したように、先程遅れて入ってきた少女が口を開いた。

「…それは、確かな情報なのかしら?」

 再び沈黙。そして、一拍遅れてから帰ってきた返事。
「はい。星宮家の家紋型の印で閉じられている、正式文書です。先程、赤便で届きました。」
「……そう。それなら、疑いようがないわね……」
 疑いようがない、ということはこの事実を認めてしまっており、今世紀最大にして最悪の事件が起きたことをも示していた。
 そうと分かった今、会議室は慌ただしく動き始めていた。当主なのであろう人物が、矢継早に指示を飛ばす。

「諜報班は幾つかの隊を編成して、すぐさまこの件に関する情報収集、それに、情報流出を食い止めろ」

「隠密班は『ハチ』内部に潜入中の者と連絡をとり、安否確認と可能であれば内部状況の報告をさせろ」

「防衛班は星宮・月輪両家の担当地域に最高レベルの保護結界を張る準備を始めろ」

「幹部レベルの本部を立ち上げ、この件に関する一切をそこで取り締まれ」

 そこまで言うと、改めて皆の方に向き直り、こう宣言した。


「皆も既に察していると思うが、これは本家史上最大にして最悪と言って良い事件だ。下手をすれば死人がでるやもしれん。絶対に気を緩めることなく、己の命を守ることを最優先に考え——総員、各任務にあたれ!!」


 事態は急速に動き出していた。