複雑・ファジー小説

Re: 桔梗ちゃんの不思議な日常。【参照300超え感謝です】 ( No.36 )
日時: 2012/10/24 13:37
名前: 藍永智子 (ID: kix7MxaA)

 どうも。只今精神状態ボロボロの藍永です。
 今回は、新しく出てきた月輪家について説明してみました。

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 月輪家の最大で唯一の特徴は、分家も合わせた事による人海戦術だった。他の一族ではあまり見られない班分けがあり、大きく言うと五つの班になる。
 最も人数の多いのは諜報班——主に他家や妖怪に関する情報収集を行っている。
 次いで隠密班——諜報班と連携して動くことも多いが、普段は『ハチ』内部に潜入し、そこからの唯一のパイプとなっている。
 諜報・隠密班に比べると規模は小さいものの、実質上トップの防衛班——退治の依頼があった場合は戦闘員の援護に回ったり、伝えられている術の効力倍増を目指し、改良を行っている。
 全ての班の統制を行う中央班——本家と分家の当主・幹部達によって担われている。

 そして、決して非常時しか表舞台に現れることがない「忘れ去られた天才共」非常時危機管理及危機収束班——通称・奴等(何故そう言われるようになったのかは、未だに判明していない)。過去、この班が動いたことは一度も無い。普段は他の班に所属しているため、誰が班員なのかを知っているのは、現当主の月輪宗匠ツキノワサイショウしかいないし、実質、無いも同然の班なのだ。

 先程遅れて入ってきた少女の名は、月輪燐音ツキノワリンネといい、宗匠の一人娘の次期当主候補だ。四字熟語で説明するとしたら、容姿端麗・頭脳明晰・文武両道の天才娘といったところだろうか。性格は少々意地っ張りのお嬢様……みたいな(?)。ちなみにそれは家のなかでだけで、外では大和撫子で通しているらしい。

                *

 広い家の中でもあまり人気の無い所をゆっくりと進む人影があった。足音は消している。やがて、その人はある部屋の前で歩みを止めた。
 そっと扉に手をかけると、中から声が飛んだ。
「びくびくしてないで入れ——燐音」
 その人もとい、燐音は一瞬動きを止めた後にゆっくりと扉を開けた。

「……流石は月輪当主ですね、父様」
「お前が言いたいのはそんなことでは無い筈だ。そんなことの為に夜、こっそりと部屋を抜け出したりする程、お前は馬鹿ではない」

 燐音の顔に浮かんでいた優しい笑顔は一瞬で消え去り、冷たく、仮面のような表情が現われた。

「——えぇ、勿論。私が来たのは、今回の作戦で父様が『奴等』のことを忘れているようでしたので……教えて差し上げようと思ったからですわ」